1995年、ボスニアで起こった最悪の大虐殺「スレブレニツァ・ジェノサイド」を、国連保護軍の通訳であるアイダを通して描く。
紛争の地に果たして「安全」な地は存在するのか。
人間の弱さや愚かさを描きながら、少しの希望を感じられる作品。
この物語はいつかどこかで起こった過去の話ではなく、今も起こっていることであると感じた。
コロナ禍という時代に、本作を鑑賞したことも意義深い。
そして、主人公アイダを演じたヤスナ・ジュリチッチの演技が素晴らしかった。
複雑な感情を、繊細な表情で表現し、静かなシーンでも彼女の力強さが伝わってきた。
戦争ほど残酷なものはないということを、国連の通訳、そして母であるアイダという存在が際立たせていた。
もしも明日自分がこの中の1人になると考えると、決して他人事としては観れなくなる。
戦争、紛争映画でありながら、政治的な物語でもある。