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私というパズルのsyuheiのレビュー・感想・評価

私というパズル(2020年製作の映画)
3.0
Netflixオリジナル映画。2020年のコーネル・ムンドルッツォ監督作品。原題は"Pieces of a Woman"。

新たな命の誕生は親や近親者に大きな喜びをもたらす。一方でその喪失は… という映画。前半、驚異的な長回しで息をするのも忘れるほど緊張させられる。そこから一気に歯車が噛みあわなくなる。夫婦や親族のあいだのawkwardなやり取りがうまくて観ているこちらも居心地が悪くなる。

世界の全てが祝福してくれているような喜びの対極を見せられる、辛いけど目が離せない前半。しかし残念ながら映画としては後半ガクンと失速する。助産師が非難されるくだりは、近代以前に実際に助産が魔女的行為と関係づけられていたことの現代的解釈にまで踏み込むかと期待したが、立ち消える。

最後は喪失からの再生が描かれるけど、前半の凄みのあるリアリティに比べてこれがなんともcheesyな演出の連続で、安易な着地点に落ち着いてしまったのが残念。

観てるあいだじゅう、司馬遼太郎の何かの小説に出てきた「産は女の戦です」ってセリフがリフレインした。

https://twitter.com/syuhei/status/1406251387764109320?s=20
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