そのまる

親愛なる同志たちへのそのまるのレビュー・感想・評価

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
3.8
1962年フルシチョフ政権下のソビエト連邦で、工場でのストライキ鎮圧のために起きた銃撃事件。
度重なる食料の値上げや賃金の大幅な値下げなど、先行きの見えない貧しい暮らしに密かに不満を溜める市民。上げた声を力でねじ伏せ、情報規制、言論統制により事件を”無かった”事にする政府…。
事件のシーンやその後の死体の扱いもだけど、血の跡が洗い落とせないという発言に対して「上からアスファルトを塗り直せ」と冷酷に言い放つ所がなんだか一番ゾッとした。
単に過去の出来事という事ではなく、今まさに再び行われている事を考えると恐ろしい。この映画の地続きに今のロシアがあると思うと、最後のリューダの祈りのようなセリフに虚しさを感じてしまう。

しかし、この映画が規制されずに制作&公開できたのは凄い気がする。作品の良し悪しだけでなく、今このタイミングで観れたことも含めて評価したい。
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