親愛なる同志たちへの作品情報・感想・評価

親愛なる同志たちへ2020年製作の映画)

Dorogie Tovarischi!/Dear Comrades!

上映日:2022年04月08日

製作国:

上映時間:121分

ジャンル:

あらすじ

「親愛なる同志たちへ」に投稿された感想・評価

‖ ◤ 皆が言っている
  食料品が値上がりしていると ◢ ‖

Fan's Voice様独占最速オンライン試写会にて鑑賞。

1962年6月1日から3日にかけてソ連で起きた「ノヴォチェルカッスク事件」を題材にした作品。

なぜ社会主義体制で
賃下げが起こるのか
デモが起きているのか
物価上昇が起きるのか
必需品が値上がりするのか

国民の怒りを鎮めるためソ連軍によって行われた"ある事件"を描く


今のロシア情勢とかなり繋がるところが多く、
開始2,3分でもう面白い(と言っていいのか不謹慎だろうか)。
社会主義の脆さが良くわかる作品だった。


本作の主人公・リューダは熱心な愛国主義者であり共産党員。
人々が生活物資の高騰や入手に悲鳴を上げる中でも、綺麗な身なりで、列に並ばずに欲しいものを手に入れることができる。
そんな彼女の娘が労働者デモに参加したことから、彼女は自分の見てこなかった世界を、労働者たちの生きる世界を、自分の信じていた国が裏でしていることを目撃していく…


いま観るべき作品。

一番観て欲しいのはロシアで暮らす人々だったりする。
まりん

まりんの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ソ連って、色々隠されてきたから、未知の国だけど、悲惨な歴史が沢山ある。
どこの国にも有るけど、厳しい寒さと暗い日々にすら隠されて居る感じがする。

どんなに国に忠誠を誓っていても、我が子の方が大事だ。
我が子を危険に晒す国が、正しいとは思えない。
つぐみ

つぐみの感想・評価

3.6
すごく感想を述べるのが難しい、史実以上のことを受け取れるほど含みがあるわけでもなく、でもこの地続きで今があることも十分分かる。

いまの日本の政治や社会が大層自慢できるほどいいものだとは決して思わないけど、それでもやっぱり「平和」が持つコノテーションがネガティブの限りではないとも確信している。
もう少し咀嚼が必要かな。
猫

猫の感想・評価

3.7
ある程度は覚悟していたけれど、
現在の状況がスライドして辛かった。
60年近く前の事が繰り返されるのか?
ソビエトは何も変わらなかったのか?

『光州5・18』を思い出した。
閉鎖、情報断絶、何もなかったことにする、、外部には知られず
内部では記憶の元を消し去る。
血糊の残った広場の上にアスファルトを詰め
その上でダンス
死体の殆んどは埋めて隠す
タイムリー過ぎて身体が凍りついた。

ただ映画の描き方は微妙で
共産党員の主人公が何度も口にする
(フルシチョフよりは)
“スターリンが良かった”
という台詞をどう解釈したらいいのか?
映画に描かれてるのは
国家としての弾圧、がしかし
それを
無批判に受け入れる層があるからこその出来事
=普通の人たちが行った事なのだ、
と言うことを覚えておかなければならない。

その国の歴史を知らなければ他国を理解するのはとても難しい。
自国でも
侵攻も弾圧も止めてほしい。
えにし

えにしの感想・評価

3.5
隠蔽、隠滅、捏造、脅迫、責任の擦りつけ…。人間の弱さがもたらす不正欲張りセットみたいな話に思わず目を背けたくなるけれど、そのような不正行為はまた普遍性も持ち合わせているからこそ、この史実に各々が向き合わなければならないのだと思う。ラストでこの物語が現在と地続きであることがほのめかされるから尚更。
信念を捧げてきた存在に罅が入ったとき、人の価値観はどのように揺らぐのか——が主題だと思うけれど、その揺らぎをユリア・ヴィソツカヤは丁寧に表現していた。プーさんは本作のKGBに対して何を思うのか…。
Pandano

Pandanoの感想・評価

3.6
60年ほど前にソ連で起きた話。
同じ国の中で、支配する側とされる側に分かれるのは恐ろしい。
小さな権限から大きな権限まであるだろうけど、支配する側になったらしがみついていないと。
何かあればいとも簡単に見捨てられるのだろう。
小さな権限のある人々は、何も考えずに大きな権限に従う。自分を肯定するために。

あのKGBが彼女に寄り添うのがよくわからないなあ。甘く感じる部分は無くてもよかったかも。

家で寡黙にしてたおじいちゃんが印象的。
ロシア革命という、もっと動乱の時を過ごしてきた世代だからこそ、孫娘の気持ちがわかるのかもしれない。

コンチャロフスキー監督の名前は聞いたことがあっただけで、作品は見ていなかったけど、ニキータ・ミハルコフと兄弟だったのか。
biboo

bibooの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

タイムリー過ぎる。いかれてるとしか言えなくなる。「スターリンが恋しい」って何度か言ってるけど、スターリンがしてたことの角度を変えてフルシチョフ政権は同じことをしているだけで、正しいと思って言われてること全部がはたから見ると理解できない。劇中の時代以前も以降もずっと政府が国民を殺しそれを隠蔽し続けてる。国自体が監獄みたいだしこれじゃ奴隷だ。結局トップが犯したことの全ての犠牲を拭うのは下である市民でしかないとつくづく思う。
内容が重いし言葉が仰々しいので冒頭は眠気に襲われてしまったが、描写が酷いからか白黒なんだけどそれでも十分すぎるくらい伝わってきた。KGBの人はなんで中盤からいきなり娘の捜索を協力してくれるようになったんだろうか。恋だとしてもいきなりすぎてなぜだかよくわからんかった。
クライマックスで繰り返される「きっと良くなる」というセリフの先の見えなさ感。いつまで思い続けたらいいんだろうと絶望する。
simpsons

simpsonsの感想・評価

4.2
よくできたすごい作品だった。
監督の弟さんは怒れる12人の男の監督ニキータ•ミハルコフらしい。

ノヴォチェルカッスク事件
1962年6月1日〜3日
冷戦時代であることが分かるラジオ。
物価は高騰し物はろくに手に入らず、賃下げ。
穴の空いた靴下を履いてる女の子は珍しくないくらい物資不足
ストライキしたら殺されるなんて、なんて国だ。
それもKGBがやったのに軍に責任押し付けてる。
投獄を恐れて皆んな病院には行かずに家に隠れてるし、
医療従事者も何も喋るなと口止めされて反論したらすぐに連れていかれる。
美容院で撃たれるシーンがリアルだった。
やっぱり恐怖から弾圧するんやな。
対話を求めているだけなのに。
暴徒化してもあかんけど、大人しくても怒り伝わらんしな。

親愛なる同志たちとは誰のことなのか。
志とは何なのか。
この国で生きる幸せとは何なのか。

フルシチョフはこの2年後に失脚する。でも体質はずっと変わっていない。

リューダ、ほんまに気強すぎて怖い。
仮装してるおじいちゃんが面白くて家にいてくれて良かった。
もう15年くらい前になるけどウクライナ人のおじいちゃんと話してて「ロシア?」って言ってしまって「NO!!」ってブチギレられた。だから、もうずっと昔からロシアの弾圧は続いていて、憎しみもあるし、独立心はみんな持っていたんだと思う。
ロシア人の友達もいてるけど、思いやりに溢れていて優しくて聡明で。人種で人を決めつけるのはおかしいことくらい分かるだろう。ロシア国民ですらロシアから弾圧されてるんやし、国の体制が問題。
marohide

marohideの感想・評価

4.5
 なぜ私はソヴィエト連邦という国家にこれほど惹かれるのだろうか。なぜこの国に興味を抱かずにはいられないのだろうか。
 これは時折自分の中で、思い出したようにふと考える問いの一つである。これから先も明確な答えは出そうにもない。映画館を出て駅へと向かう道すがら、またこの問いに向き合うタイミングが来たのだなと感じた。

―――

 物語の舞台は1962年。この頃のソ連はスターリン批判後のフルシチョフ体制下にあった。血腥い戦争と陰鬱なスターリン主義の残り香がスクリーンからも漂ってくるようだ。
 とはいえ、それらの悲劇も時と共に少しずつ距離が生まれ、当時を知る人とそうでない若者たちの間には意識の差が生まれる。そのような時代である。

 主人公は熱烈なスターリン主義者であり、娘や父との間には常に緊張感のある空気が流れている。
 母と娘の確執などというものはどの家庭にも当たり前にあることだが、それが即イデオロギーに接続されるという環境は興味深い。小市民的な一個人の生活と国家の政治体制が連綿と続いているという感覚は、ソ連という国の人々の面白い所だと思う。

 序盤、ストライキした労働者を全員逮捕せよと声高に主張する主人公の姿は、ともすればかなり苛烈で不安定に感じるかもしれない。しかし独ソ戦の凄惨さを少しでも知っていれば、あの時代をイデオロギーに縋らずに生きることの難しさがわかるはずだ。
 軍服に身を包み笑顔で写る写真や、「あの人は本物のソ連の英雄だった」と失った男を語る時の彼女の顔。その輝きと痛み。固さと脆さ。
 きっと、彼女にとってソ連は“本物”だったのだろう。だからこそ、無神論者であるはずの彼女が十字を切って娘の無事を神に祈るシーンや、幻想が打ち砕かれ「共産主義以外の何を信じろというのか」と慟哭するシーンはあまりに悲しく、痛々しい。

―――

 とどのつまり自分がソヴィエト連邦に惹かれる理由は、矛盾する二つの事柄をそのまま抱え込む、その両義性にあるのだと思う。
 確かにソ連の歴史には常に暴力と圧力の影が付きまとい、その権力は腐敗していた。およそ理想郷とは言い難い。しかし、だからといってあの国の何もかもが薄っぺらい嘘だったかと言うと、決してそんなことはない。
 ソ連の人々は時に体制を皮肉り、絶望もしたはずだが、あの国には確かに共産主義を本気で信じた人々がいたのだろう。信じたかった人も、信じずにはいられなかった人も含めて。
「未来はきっと良くなる」というラストシーンの台詞は、その“未来”を既に知る画面の前の我々の胸を刺す。

 良いシーンは多かったが、中でも愛国的な歌を涙声で歌うシーンは出色の出来。同志を讃え、イデオロギーを称揚し、輝かしい未来を歌うあの歌は、ある一面ではプロパガンダでありながら、同時に彼らが目指し信じていた未来でもあったはずだ。
 ソ連に戻ってきてほしいと思うことは出来ないが、そのような国がもはや地図上のどこにもないことに、私は一抹の寂しさを感じずにはいられない。

 モノクロにほぼ真四角のアスペクト比というやや圧迫感のある画面構成と劇中歌を含めた音響効果を効果的に用い、当時の社会主義国家に翻弄された人々を描いた、大変苦味のある作品であった。
Rick

Rickの感想・評価

4.5
 「祖国のため」とは一体何なのだろう。ストライキなど社会主義国家では起こるはずがないと言うことなのか。体制を脅かす「暴徒」を徹底的に鎮圧することなのか。死体を無かったことにして、恐怖で人の口に戸を立て、見せかけの平穏だけを保つことなのか。血に染まった地面を、新たにアスファルトを敷いて覆い隠すことことなのか。たとえそれが身近な人を抑圧し、殺すことになったとしても、「祖国のため」であれば許されることなのか。今作は一貫してその問いを観客に突きつけてくる。
 ソ連史が語られる際、スターリン期は粛清やホロドモールなど暗黒のイメージを、その後のフルシチョフ時代はスターリン批判によって「雪解け」のイメージを付与されることが多い。けれども、そんな単純な図式では描けないのも事実。今作の主人公のように、スターリン体制から多く恩恵を受けた人にとっては、つまり国家による剥き出しの暴力を見ることなく、理想や大義、大祖国戦争における勝利のみを追い続けることができた人にとっては素晴らしい時代だったに違いない。一方で、フルシチョフ時代は、新たに導入した経済改革が人々を苦しめた時代という側面もあるし、ハンガリー暴動やノボチェルカッスク事件のように国家的な暴力が振るわれた時代でもある。良いところもあれば悪いところもあるというよりは、どちらもコインの両面なのだ。その時体制の側にいたのか、抑圧される側にいたのかで、見える景色は正反対になる。それだけの話だ。主人公の父は帝政期からのロシアの流れをじっと見つめ、主人公は第二次世界大戦の頃からのスターリニズムに浸かり、戦中生まれの娘は新たな時代の到来を肌で感じている。たったの3世代でここまで、体制に対する捉え方が違うのだ。
 見終わってから、ずっと頭に響いている「нечего не знаю(何も知らない)」の言葉。何かを知っていることが罪になり、保身のためならば「何も知らないこと」を貫かねばならない。誰もが本当のことを言っていないことなど知っているのに、表面上は何も無かったことにする。それが秩序なのだろうか。本質主義には陥りたくないが、今の状況を見るとロシアは何も変わっていないと思わざるを得ない。もしかしたらロシアに限った話ではないかもしれないが、傾向が強いのは確かであろう。別に社会を運営する手法に正解はないのであり、資本主義や社会主義、民主主義や共産主義、どのような理想を掲げても良いだろう。ただ唯一条件があるとすれば、理想や大義に執着して人々を絶大な国家暴力で踏み潰さないことであらなければならない。人があっての社会であり、社会があっての人など許されて良いはずがない。
 今作の終わりは、あまりに楽観的に映ってしまったところもある。でも、それでもこのままでは駄目だ、きっと良くなる、きっと良くしていかなければならない。そのような決意表明が見えたことで、微かでも確かな希望がそこにあると信じたい。
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