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ケミカル・ハーツのitoのレビュー・感想・評価

ケミカル・ハーツ(2020年製作の映画)
4.8
10代は宙ぶらりん。だからより心に刻まれた傷は深く、なかなか治ってくれないんだよね…自分でもどうするのが正解なのか分からなくて、度々出てくる混乱してるっていう言葉も本当にその通りだなぁと思います。

グレイスは無理をして前に進もうとしてしまったけど結果としてより自分の傷を深くしてしまったのかもしれないなぁ。受け止めて、前に進みたいと思う気持ちはあるけれどそれがなかなか上手くいかなくて、ヘンリーに対する感情だって、混乱して分からなくなってる。利用しようとしてたのかもしれないし、純粋に好きになって過去は忘れられると思い込んでいたのかもしれない。ほんとのことは彼女にしか分からないけれど10代で負うには深すぎる傷だよね…人生の中で一番フラフラしてて宙ぶらりんで敏感な時期だからこその行動とか感情とか思考がなんだか生々しく感じられました。

私も十代だけど2人の気持ちがどちらとも何となくかもしれないけど分かるからほんとにずっと苦しかったです。どちらの思いもわかるけど、お互いが求めているものがずれていてうまく出会えなかったんだろうな…なんて思ったりもしました。

この作品は出てくる言葉がとても綺麗!!切なさ苦しさ痛み、表現の仕方がとても素敵でした。頼りなくて、まだ確実とは言えない宙ぶらりんな2人の関係性がとても丁寧に美しく描写されていて引き込まれました。刺さるなぁ。上手く言葉に出来ないけどこの胸のもやもや、分かってるけど上手くいかない!とか、体と心が上手く繋がってない感じがするとか、まだまだ成熟していない若者だからこその苦しさにとてもよく共感できる作品でした。
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