EDDIE

いとみちのEDDIEのレビュー・感想・評価

いとみち(2020年製作の映画)
4.3
母への未練、父との衝突、激しい津軽訛りと人見知り…人生は険しく突き進みづらいかもしれない。だけど現状打破のためには自分で動くことが重要!そしたら誰かが助けてくれるから。
懸命に自分を変えようとするいとと個性豊かなキャストに感情移入。涙腺緩むポイント多数な大傑作!

〈感想〉
U-NEXTのポイントが貯まってきたので、そろそろ新作鑑賞に使っていこうとリストを漁っていました。
今年公開作品で配信開始作品はイマイチ琴線に触れるものがなく、昨年多くの方がベストに入れていた印象深いこちらをセレクト。

観る前はあらすじすら把握していなかったのもあり、ポスターで何でメイド服で三味線持ってんだこの子?みたいな体たらく。
青森舞台で三味線が絡んでくる映画だ程度の知識で臨んだ映画鑑賞。
なので、冒頭から津軽弁全開で始まる本編に戸惑いを隠せませんでした。

青森出身の友人はいるので訛りはある程度知っていたのですが、本作で主人公のいとが発する津軽弁はもはや解読不能。
学校の授業で教科書を読むのですが、一瞬外国語?と思ってしまいめちゃくちゃ混乱したほどです。
はい、申し訳ありません。その場にいたクラスメイトたちと同じような目線になっていました。最低です。

そんな彼女は人見知りで会話も辿々しくて、正々堂々と文句が言えるのは父親ぐらい。
こんな自分を変えようと、電車を乗り継いで行く必要のある青森のメイド喫茶のアルバイトへ。
彼女にとっては青森も大都会。

メイド喫茶で働くのは優しい店長の工藤さん、永遠の22歳を名乗る幸子さん、漫画家になる夢を持つ智美ちゃんの3人。
後日、これまた変なオーナーの成田さんに出会うわけですが、彼の行動がきっかけとなり彼らは窮地に立たされてしまう…という内容。

まぁコミュニケーションが苦手ないとですから、メイド喫茶でもじゃがいもの皮むき以外はうまくいきません。
だけど、苦手なことにも果敢に挑み、自分を変えようとひたむきに頑張ります。
人間ってやろうと思ったところでそんなに急成長するもんじゃありません。
そんな簡単じゃないんだけど、本作はその苦手を補う意味で周りの脇役たちがしっかりとフォローしてくれるんですよね。

人間1人じゃ何もできません。
手を取り合って助け合って、そしたら2倍も3倍も力を発揮することができるんです。

個人的には

・いと×父耕一
・いと×幸子

これらの関係がすごく良くて、感情移入してしまいました。
いとと父耕一は何度もぶつかりすれ違います。
しかし、耕一は親として心底娘を心配しているわけです。
少しずつ歩み寄っていって、終盤は彼らのとあるシーンにめちゃくちゃ泣かされました。

いとと幸子はバイトの教育係と新人の関係性。
決して100%の優しさで接してくれるわけではない、時には厳しいことも言われるんです。
だけど、もっと若い頃に母を亡くしているいとにとって、終盤は彼女の母親代わりのように大きな存在に変化していくのが良くて、これまた終盤の2人きりのとあるシーンは涙腺がやられました。

主人公の成長だけでなく、周囲との関係性を深めていくなど人間関係に深みが出るところ、そして親子関係の修復という様々な点において素晴らしい映画でございました。
昨年劇場で観ていたらもっと高い評価になっていたかもなぁ。

〈キャスト〉
相馬いと(駒井蓮)
相馬耕一(豊川悦司)
葛西幸子(黒川芽衣)
福士智美(横田真悠)
工藤優一郎(中島歩)
成田太郎(古坂大魔王)
伊丸岡早苗(ジョナゴールド)
青木(宇野祥平)
相馬ハツヱ(西川洋子)

※2022年自宅鑑賞115本目
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