すぎ

同じ月を見ているのすぎのレビュー・感想・評価

同じ月を見ている(2005年製作の映画)
2.9
さっきまでサントリー伊右衛門の匂いがほのかに香った指先でスマホ画面をタッチしています。

なぜならば道端でソーメンを投げ、ベトベトになった手を伊右衛門(HOT)で洗い流したから。
そう、アウトレイジのレビューの時に書いた、あの自主制作映画の撮影です。
どうでもいいことですがレズ設定じゃなくなりました。笑

そんな話はさておき
本日のレビューは深作健太監督、窪塚洋介の復帰作『同じ月をみている』。

幼なじみのエミ(黒木メイサ)の心臓病を治したい一心で、医者の道を歩む鉄矢(窪塚洋介)。
恋人同士の二人のもとに、ある知らせが届く。
もう一人の幼なじみのドン(エディソン・チャン)が、刑務所を脱走したというのだ。
人の心を絵に描き出し、その人を癒してしまう不思議な力を持つドン。
誰よりも純粋な心を持つドンに、大切なエミを取られてしまうのではないか‥。
と不安と暗い思い出を抱える鉄矢は、目の前に現れたドンに対し非情な態度をとってしまう。

窪塚洋介が2004年に自宅マンションから転落した事故をご存知ですか?
この作品はそんな窪塚が自ら復帰作として選んだモノなんだそうです。
それもドン役に強烈に惹かれた事が決めてだったようで。

しかしながら窪塚は鉄矢役を演じています。

「鉄矢を演じたらどんな感じなんだろう」
と直感的に思った事が役へと結びついたそうですが、
このなんとな〜くな感じが、私の持つ窪塚洋介のイメージにマッチしてる、、、

「フィーリングで行こうヨ、イェッ」(IWGPのキングのボイスで脳内再生してほしい)

的なね。

内容としては正直なところ
凄いつまらない訳でもないし、めちゃくちゃ面白い訳でもない。

けれど
普段穏やかなドンが、荒々しく筆をとり絵を描く場面にはとっっても胸を打たれます。

絵を描く事が好きな人は共感出来ると思いますよ〜

ドンは両親が幼少期に他界し、いじめられ周囲から気味悪がられ、挙句には刑務所に入れられる...
と可哀想すぎる生い立ちの青年です。
それでも美しく優しい心を持って成長してきたんだ、と我々 鑑賞者は中盤まで思っているんですが

ドンもただの清い人間な訳じゃなかった。

心に潜む悪の種が育たぬように、必死に抵抗し生きてきた。

その心の中にある怒りや悲しみを、この絵にブチまけ
彼の思いを昇華するシーンとなっているのです!!!

手というツールは
本音を外に漏らす事が出来ない人にとっては最高の感情表現の手段だと思うんですよ。

私自身も絵や立体を作るのが大好きで(趣味ですが)
なぜ好きかって、自分の脳内にあるモノをダイレクトにぶつけられるから、素の気持ちを表現できる気がするからなんですよね。

スポーツと同じように、一種のリフレッシュ方法とも言えます。

この気持ちが分かる人にとっては
すごく感情移入できる良い場面だと思うので一見の価値あり!!!


ちなみにこの絵
http://hayakawagou.com/seisaku/s_05/b-honoo.html
日本画家の早川剛さんという方が書いた作品らしいです。
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