たこなまこ

65/シックスティ・ファイブのたこなまこのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

今時珍しくストレートな話でした。羽毛の無い爬虫類タイプの恐竜とも相まって、ウェルメイドな古典SFのようでした。
コールドスリープ状態の乗客を運んでいた恒星間宇宙船が小惑星群に衝突して地球に不時着、操縦士1名と乗客の少女1名以外は全滅、脱出するために10数キロ離れた山上まで歩く。
という話なのですが説明ナレーションはほぼ皆無で不時着した惑星の名が「earth」であると明示されるのみ。
救援要請、ナビ装置との対話、言葉の通じない少女に対する身振り手振り混じりの単純な説明台詞から設定を理解する必要があります。言葉の通じない少女に亡き娘のことを語るのはご愛敬ですが、要するに「娘を亡くした男が一人生き残った少女をHomeに帰すために奮闘する話である」ことさえ理解していれば、細かいことは気にしなくて良いということなのでしょう。
時間遡行ものではないので恐竜ころしまくりでもパラドックスは生じません(どうせすぐに滅びるし)。恐竜退治の爽快感は無く、虫に塗れた生理的気持ち悪さは相当なものですが、みっともなく奮闘し時には少女に助けられ画伯ぶりも発揮する姿は「情けない役のアダムドライバー好き」にはたまらないものがあります。
ラストの隕石群のビジュアルが良かったですし、「二人を救ったのはハイテク兵器でなく少女の知恵でした」的なヒロインが良かったです。
たこなまこ

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