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クローゼットのjamのレビュー・感想・評価

クローゼット(2020年製作の映画)
3.9
眠りにまつわるあれこれ

眠れない
眠りたくない
一人寝の寂しさ

添い寝、って良いですよね
赤ちゃんの頃お母さんにぽんぽんされながら安心して眠りについたこと
記憶はないけれど、確かに自分のなかにあるんだろうな…

夏休み、枕を並べた従姉妹に
学校のこと、家のこと
たくさんたくさんお話しして
いつまでも眠りたくなかった思い出

仕事でクタクタで、身体は眠りたくてたまらないのに
頭が冴えて眠れなかったり

あるいは
誰かのことを想って
深い静寂のなかひとり 
胸が苦しくなったり



ジンが添い寝屋に向いているとすれば
彼にとっては辛い身体的状況
それによってもたらされる
静かな一歩引いた感じが
数多の"顧客"に受け入れられるから

「どうして私は当たり前のことができないんでしょう」30才の処女の焦り
彼女を抱くことはできないけれど
穏やかに話すうちに安らいだ瞳が戻る


職場の愚痴を捲し立てるナース
彼女にはジンの落ち着きが逆効果で
チェンジ

そして
48時間コース
希望の"看取ってほしい"までも


No. 1のKくんに言われた
お客さまとの会話、まじめに答えてちゃダメ
頭でわかっても自然に


夜の歌舞伎町
誰にも助けを求められず

私の人生もう詰んだ
ジン、一緒に死んでくれない?


人は誰でも
心にクローゼットを持っている
寂しくて不安で
温もりがほしくて

後ろからそっとハグしてもらって
目覚めたとき
よしよし、ってして欲しいから


観終わってロビーに出ると
細身の男性が心配そうに佇んでいた
ジン役の美濃川さん
マスク姿だけれど、声をかけた幾人かと話す様子が
ジンそのものの優しさを纏って
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