MURANO

オクトパスの神秘: 海の賢者は語るのMURANOのレビュー・感想・評価

4.1
アカデミー賞授賞式でのノミネート作品紹介時に流れた、タコが人間の手に優しく吸い付く映像に絵的な力を感じました。

そこでこの作品を知り、直後に見事に長編ドキュメンタリー賞を受賞。Netflix作品ということで、さっそく観てみました。

海洋ドキュメンタリーというと『ディープ・ブルー』や『オーシャンズ』のように地球の壮大さ感じさせる作品イメージが強かったが、この作品はすごく小さな世界を捉える。

南アフリカの海のとある1箇所で、そこに巣を持つ一匹のタコをひたすらカメラは追い続ける。

語り手はタコのことを「SHE」と呼び続け、毎日毎日同じ海に潜り、タコの様子を観察していくと、じょじょにタコが警戒を解き、交流が生まれていきます。

この様子が、もはや人間とタコのラブストーリー!

なんか、ちょっと『シェイプ・オブ・ウォーター』みたい、とか思いましたね(笑)

このラブストーリーっぽいアプローチがこの映画の特徴で、海の美しさを感じるだけでなく、人間とタコの関係性がどうなるかにドキドキしてしまうのです!

自然を描く中で、タコがサメに狙われて大ピンチに陥るなどのスペクタクルもあるが、このときに思う気持ちが、もうとにかく「食べられないで!」と、ものすごく感情移入したものになってくる。

さらにタコの寿命は短いゆえ、映画も終盤になってくると、水面に漂う寂しさにかなり感傷的になっちゃいますね。

タコの生態を探るだけでなく、そこに人間的なストーリーを持ち込んで感動させてくれる、ドキュメンタリー+αがある作品でした!
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