「地球に住んでいるならそれは皆何処かで繋がっているのではないだろうか」
それは以前から私が抱いていた感情。
要するに地球という枠組みに於いて言えば有限資源の中で様々な形態として成立してるだけ、形違えど皆兄弟。と思っている。
でもこんな物語に触れてしまうと自分が抱いてきたこの考えも満更ハッタリでも無いのでは、と思わせてしまう。
映画製作者クレイグ・フォスターが南アフリカのお海原に棲息するタコの一生を垣間見つつ、種を超えた交流(これは最早ラブストーリー)を描く本作。
ディテールは極めてシュールである。
精神を擦り減らし、疲弊しきった主人公を駆り立てた海の世界、そしてそこに棲むタコ🐙、それに魅せられた人の話なのだから。
しかし蓋を開ければその哲学書の様な世界観に驚きと感動が広がる。
眼前に広がる海の世界は、瞬間瞬間がドラマの連続。だけど不思議と包み込まれる様な穏やかな感覚にも襲われる。それは包容力にも似た感覚で、それこそ海のスケール感に平伏すと言えば適切どろうか。
さながら海深くへと誘うかのような偉大なる精神に触れた壮大さ。
そこにタコ。
でもこんなにも興味深いとは。
まるでそれは"ただ言葉を発しない特別な誰か"
タコが教えてくれるもののひとつひとつを主人公と一緒に享受するストーリーの中盤。
ドキュメンタリーを見ているのか、それとも新手の何かに触れているようなそんな感覚ばかりなんだけど、人生は何も人から学ぶものではないのだと改めて痛感させられる。
それ以上に私達は普段の喧騒の所為で生命のリズムや命の鼓動、忘れているのではないのだろうか?
或いは、見落としていたその世界の鼓動にもこの作品を見れば感じずにはいられないし、ホントに大切なモノを無碍にしてはいないだろうかと考えずにはいられない。
その命から発する言葉がどれ程、美しいか。
その感動は直ぐ薄れがちだ。
この地球が発する言葉が消えがちだ。
この大地、母なる海。
大切にせずにはいられない。
途中、涙腺崩壊したのはその所為か。
そして、当分タコは食べれない。