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シカゴ7裁判のpenのネタバレレビュー・内容・結末

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

取り上げた題材、党大会当日をあえて最初にすべて見せずに少しずつ明らかにしていく描き方、あまりにも豪華な役者陣の熱演と揃えてきていて、ずっと観ていられた。

同じ場所に同じ目的でその場に集まっていたとしても、それぞれが持つ目標・理想・勝利は微妙に異なる。その微かなすれ違いから来る衝突を描きながら、しかし最も大事にすべきこと、目を向けなければならないことの為には起立する。細かい面で対立はしながら、大きく見れば連帯の意を示す、その関係性が良かった。
締め付けや相手方の敵意によって心理的に人が追い詰められた時に起こる暴動の発生過程を描いた中盤、ブラックパンサー党のボビー・シールに対する数々の行いもまた印象的。

アーロン・ソーキンの初監督作『モリーズ・ゲーム』では台詞が徹底的に詰め込まれ、声として発せられた途端にもはや音楽ではと思えるほどの快感があった。その良かった面が本作では無く、堅実に纏め上げた印象を受ける。長編監督作品の2作目でそれが出来ること自体、凄いことではあるのだけど。スピルバーグが最初は監督する予定だったのが紆余曲折あり今回の座組になったとのこと。その話自体は随分前のことらしいが、いまのスピルバーグのキャリアで考えると『ペンタゴン・ペーパーズ』的な編集で作られていたらどうなっていただろうと、ちょっと考えてしまう。
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