The whole world is watching ー 世界は見ている! このパワーワードが、今の時代だからこそ、時を越えて心に響く。
納得の、オスカー作品賞候補。
法廷劇エンタテインメントとして、こんなに会心のラストシーンってあるかよ!ってくらい、パワフルで見事な着地をしてくれた映画でした。
1968年のシカゴでの民主党大会時に起きたベトナム戦争反戦デモでの警察との衝突。そのデモを扇動したという罪で、まったく接点のない7人が起訴された、という裁判がこの映画では描かれます。
僕はこの「シカゴ7裁判」のことは知らなかったし、映画の中でも事実を順立てて丁寧に説明してくれるわけでもないんですね。
でも、この映画は最初からむちゃくちゃテンポが良くて、そんなに説明的ではないのに、観てる方を上手に波に乗せてくれる。
裁判の模様が中心に描かれるが、回想シーンも証言内容とうまく掛け合わせ、結構大胆に編集して飛ばしたりしながら、線が途切れることなくシームレスに展開され続ける。
本当、息つく暇ないくらい、最後まで集中高まりまくりました。
そんな内容が詰まってるところに加えて、役者陣の演技もハイレベル過ぎて!
サシャ・バロン・コーエンがオスカー助演男優賞にノミネートされてるが、彼だけが良いんじゃなく、個人的には他の役者の方がさらに印象的でした。
熱血弁護士を演じたマーク・ライランスはやっぱり巧いし、判事を演じたフランク・ランジェラなんてもう死ぬほどムカついてね(笑)
この辺のベテランの貫禄に、主演のエディ・レッドメインの目立たないようで結局何やらせても巧い安定感。役者陣のバランスが、うまく取れてました。
内容も良い、役者も良い、そしてさらに、現在のBLMも反トランプも全部含まれているメッセージ性まであって。
やや詰め込み過ぎた感はしなくもないけど、エンタテインメントとして、それだけ濃密な一本でした!