たむたむ

いつかの君にもわかることのたむたむのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
4.0
「確信が欲しい」
『おみおくりの作法』のウベルト・パゾリーニ監督による、子を想う父の愛を描いたヒューマンドラマ。
アマプラレンタルセールにて鑑賞。

病により余命僅かのシングルファーザーであるジョンが、幼い息子のため養子縁組の手続きを進めていくなかで、何組かの家族候補たちと面会し、最良の選択を模索しながら葛藤する姿を描く。

これは泣けました。。「お涙頂戴」的な演出は一切ないのに、さめざめと泣きました( ; ; )
父と子の交流を丁寧に描いており、感情移入度が半端なく高い。父親役のジェームズ・ノートンは、100人の候補者の中から選ばれたという息子役のダニエル・ラモントと、時間を掛けて撮影前から信頼関係を築いていったそうで、だからこその空気感というか、作中の2人は本当の親子のよう。
抱き上げる仕草や優しい微笑み、繋ぐ手と手…全てが慈しみ深く自然に体現されていました。

赤色とブドウとトラックが大好きなマイケル。
自分は息子を十分理解できているのか。
息子の幸せのため素敵な家庭を選んであげたい。
でももし判断が間違っていたら…?
劇中に流れるアコースティックギターの響きも相まって、ジョンの子を想う気持ちが切なく沁みる。

そんな彼の苦悩を、息子との何気ない日常を交えて綴ることで、起伏のない展開ながらシンプルに親子の心情に寄り添うことができ、より深く胸に迫ってきます。子育て経験のない私ですら刺さるのだから、お子さんがおられる方は号泣必至かと。

一体どの家庭が相応しいのか、私もジョンの立場になって考えながら観ていましたが、ラストで下された決断には納得でした。私も同意見だったので、やっぱりそうだよね…!と。

「この家に来てくれる子はトンネルに差す光なの」
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