孔明

ガールズ&パンツァー 最終章 第3話の孔明のレビュー・感想・評価

4.5
ガルパンはいいぞ!
だけでなく私なりのレビューをしたいと思います。もちろんネタバレは無しで。

ある意味戦車版ワイルドスピードことガールズ&パンツァー新作OVA最新作。

BESTIA キャノンボールズ・フォール センシャラウンド並びに轟音上映にて鑑賞。
轟音上映の方が砲撃の体への伝わり方は以前富士総合火力演習で体感した10式戦車の砲撃の伝わり方に近かったので、よりリアルに戦車の迫力を感じたい人は轟音上映がオススメ。

本作全体のテーマはキャラクターの成長。
大洗女子学園も知波単学園も各メンバーが隊長の指示に従うだけでなく独自の判断で考え行動出来るようになっているのが印象的だった。今回はこの成長がテーマだからこそあの結末に行き着いたのだろう。
事前のインタビューでも語られた通り、今回の大洗女子対知波単の戦いのテーマの一つに光がある。暗いジャングルで光を活用した戦いで新しい戦車戦を生み出すことに挑戦している。
無限軌道杯2回戦の決着がメインの話なので尺48分の内戦車戦のシーンの割合が非常に多い。バトルシーンの中で各校の成長が見られるのが良かった。
大洗対知波単以外の試合ではBGMの使い方が非常に良く、初見時は音楽に良い意味で振り回された。
各校の成長ぶりを語る上でも細かい軍事面の考証も気になるのでBlu-rayに収録されるであろうミリタリーコメンタリーが早く聞きたい。しかしこのコロナ禍であの大人数でコメンタリー収録が出来るのか心配なところもあるが。

10年近くに亘って手書きアニメと3DCGの融合による迫力の戦車アクションを手掛けてきたアクタスとグラフィニカ並びにSTUDIOカチューシャを始めとしたスタッフ陣の連携とフィードバックにも更なる進化を感じた。より激しい動きが増えた戦車の躍動感やカメラワークの激しさは勿論のこと、個人的には戦車から身を乗り出している生徒の3DCGの演技が更に手書きのアニメーションに近づいたなと思った。また3DCGの生徒の口パクもあまり目立たぬように考慮されていて、作画班と3DCG班がお互いに負担を減らせるよう協力体制が築かれているのは本作ならではの見どころではなかろうか。
明らかに4D上映を意識したカットも多かったので4Dでの上映が待たれる。

敢えて残念な点を挙げれば過去作以上に情報量の多いカットがちょくちょくあるので一度で画面上の全ての要素を見切るのはほぼ不可能。複数回鑑賞が前提の作りになっているのが大変なところ。一律料金¥1,500でサービスデーもシネコンのポイントも使えないのはかなりエグい商法である。一律¥1,800よりはまだマシだが。
またストーリーの展開上、ドラマCDなどのメディアミックス作品に触れていないと一瞬戸惑う描写もあるため、映像だけ追っている人には少々不親切だなと思った。メディアミックス展開の弊害が出てきてしまっている気がする。
更に今回は冒頭にこれまでのおさらい映像も無いので少なくとも最終章第1話と特に第2話の予習が必須となる。そのため一見さんには厳しい作品になってしまっている。もしかしたら現場的に余裕が無かったのか?
その代わりに本作公開に合わせてHuluやdアニメストア、Netflixをはじめとした幾つかの配信サービスで最終章シリーズやTVシリーズ、OVA、劇場版などが配信開始されたので、もし興味があればそちらからガルパンに触れて貰えれば幸い。
https://girls-und-panzer-finale.jp/delivery-finale/
第4話の絵コンテ作業が進んでいるようだが第4話が見られるのは恐らく1年半から2年後だろう。一見遅い製作ペースに思われがちだが、一応業界経験者として見るとスタッフの負担を減らしつつあれだけハイクオリティかつ複雑な映像を作るならばこれぐらいのペースで良い気がする。最終章のペースが遅いのではなく、TVシリーズから劇場版までの製作スケジュールが異常なまでにハイペースかつ仕事量が異常だったのである。こればかりは今後発売されるであろう第3話のBlu-rayなどを楽しみつつ待つしか無い。

本編と関係ない部分で言うなれば、流石にコロナ禍ということもあってか、公開1週目の入場特典が特典配布最終日になっても貰えてしまったあたり、思った以上に人が入っていないというのはちょっと悲しかった。
孔明

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