桃龍

きまじめ楽隊のぼんやり戦争の桃龍のレビュー・感想・評価

3.5
”イムジン河”の両岸の町が戦争をしているオハナシ。長年にわたって続いているので、住民はもちろん町長も原因を忘れてしまっている…。
普遍的な反戦映画だと思うが、私には北朝鮮で出会った普通の人々が思い出された。あの独裁者一家とその取巻きだけが北朝鮮ではない。
お土産屋さんのお姉ちゃんは資本主義にまみれていないので値引きやボッタクリを知らず、「お釣りはいらないよ」と言ったら(勘定が合わなくなるからか)マジ困った顔になり、かわりにと店の奥から小さな国旗を出してきて、くれた。
新婚旅行中で軍服とチマチョゴリのカップルに拍手してあげたら真っ赤になって照れるし、マスゲームの練習をしていた少女たちの目はキラキラしていて声をかけると驚いて後ずさりされた…。
そんな狭い世界で暮らす純朴な人々を悪意を持ってコントロールする軍隊や警察を、この作品では皮肉り、ラストは怖い。もう少し笑えると良かったけど、これ戦争なのよね。
2021-04-07記。
桃龍

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