もりあいゆうや

サマーフィルムにのってのもりあいゆうやのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
4.3
舞台は「夏」。
主役は「高校生」。
やることは「部活」で「映画作り」をして「文化祭」で上映。

こうやって簡潔に要素を抜き出しただけで『青春』がだだ漏れている。

そこに主人公の前に謎の男が突如現れて『SF』と『恋愛』要素が絡み合い、映画の熱が帯ていく。

「夢」「友情」「恋」というベタなところをちゃんと描き、やっぱりベタっていいよねっていうことを再認識させてくれる。それはイコール、チカラのある映画の証明でもある。
何より、『「ものづくり」は楽しい!』っていう根本的で大人になるにつれ薄れていってしまうそういう気持ちを沸き上がらせてくれる。


主人公はボーイッシュなルックスの女子高生で、1人で名画座に通うほどの時代劇マニア。好きなことには盲目気味。男子にも屈託なく接する。名前は“ハダシ”。
そんな“ハダシ”の友人である“ビート板”は、丸メガネをかけた黒髪ボブの同級生。国内外問わずのSF好き。時代劇には興味がない。イケメンが苦手。
そしてもう1人の友人“ブルーハワイ”は、黒髪ポニーテールの剣道少女。ハダシと同等の時代劇マニアで、2人の間には勝新太郎・市川雷蔵・長谷川一夫などの名前が飛び交う。

どうですかこの3人の設定?
ここまで映画好きおじさんの願望が溢れ出ているのは珍しいでしょう!?
ただ、伊藤万理華・河合優実・祷キララがそれぞれ魅力的なキャラクターとして演じきっているので、そういういやらしさは薄まっています。OK!

何より特筆すべきは、伊藤万理華。
この人を撮っておけば、セリフがなくても映画は成立します。
多彩で引き込まれる表情を見せてくれています。
特にちょっと退いた顔が良い。


他にも、時代劇とキラキラ映画の二項対立をうまく使っていたり、同級生男子達の憎めないいい奴ら感だったり、淡い空の色だったり、瑞々しい魅力が散りばめられた良い作品です!


あと、劇中劇から始まる映画って、なんかいいよね。