ペンバートン

サマーフィルムにのってのペンバートンのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
4.7
『サマータイムマシンブルース』が大好きな自分に青春×夏×友情×恋×SFがテーマの本作がハマらないわけがなかった。加えて、高校の文化祭で稚拙な演劇をやった身としても、ハダシたちのグダグタな製作風景は感傷に浸らずにはいられず、共感の連続だった。特に、映画部の部室のような場所で2チームがそれぞれ編集に打ち込む姿を定点から映したシーンでは、その場の殆どの人間が友人や恋人と談笑に勤しみ、実質的に何の手伝いもしていない怠惰な状況であれど、彼らが何よりも楽しそうな表情をしていてそれがたまらなく愛おしく、また懐かしい気持ちになった。

ラストシーンについては、ここで止めて即興の演劇をしてしまうのか、と若干の戸惑いこそ最初はあったものの、ハダシや凛太郎、そして映画部のクルーたちの作品に対する愛のこもった殺陣を観ていると次第に感動してしまったし、何よりハダシと凛太郎の時代劇/映画愛溢れるセリフが刺さった。どんな映画もそれを作っているのは紛れもなく人であり、さらに言えば、それを長きにわたって支える基盤となる文化さえも人が作り上げるものなのだと改めて思い直すことができた。

Cody・Leeのエンディングも素晴らしく、映画を見終わってから鬼のようにリピートしている。