「君らの留守中に 地球を守れなかった」
ジョージ・クルーニーが監督、主演を兼ねたSFドラマ。
大きく分けて北極パートと宇宙パートに分かれており、時折、主人公のオーガスティン博士の過去が少しだけフラッシュバックされる構成。
あくまで個人的な意見だけど、ジョージ・クルーニーの監督作はどれも期待値を超えてくることがない。扱うテーマはいいのに、彼が手掛けて映画化すると、なんだか微妙な出来になる。メッセージ性があるようでないというか、観終わって心に残るものがないというか。で、本作もしかり。
映像は確かに凄いのだが、何が言いたいのかいまいちつかめない。北極の厳しさ? 宇宙の厳しさ? ヒューマンドラマ? どれもこれもが中途半端に感じてしまう。
そもそも地球に何が起こったのかがはっきりしないため、「戻って来るな」と言われても「何で?」としか思えない。北極や宇宙での余計なトラブルエピソードに時間を割くなら、地球に起こった異変を掘り下げて欲しかった。
以下ネタバレあり。
よく理解できなかったシーンが2つばかり。
まずはオープニングシーン。
地球全体がヤバい状態になっていて、かろうじて北極が無事らしい中、あの大勢の人々(そもそも北極になんであんなに人がいるのかも謎)はヘリでどこに向かおうというのか。娘とはぐれたと言っていた母親がいたが、あれも何の伏線でもなかったし。何だったんだあれは。
もう一点。
前半のシーンで、博士が食事を用意して席に着こうとしたら、すでに食事の用意がテーブルにあって、博士がきょとんとする場面がある。訝りながらも、博士は二つの食事を一つの器にまとめる。
で、その後に謎の無口な少女が基地の中に隠れていることが発覚して、「ああ、さっきのもう一つの食事はこの子が食べていたということか」と納得できる……のだが、最終的にこの少女が博士の幻覚だったことが判明するのだ。つまり、あのもう一人分の食事は彼女のものではないということになる。ではあれはいったい何だったのか? 博士が病気のためにボケてしまって、食事を用意したことを忘れていたのか、それともあのもう一人分の食事も幻覚だったのか。答えは明かされず、映画は終わる。ウーム、あの演出は本当に何を意味しているのか分からない。