このレビューはネタバレを含みます
すっかり冷えきった夫婦仲のガイとプリスカは、11歳の娘・マドックスと6歳の息子・トレントを連れてビーチに出掛けた。そして、これが彼らの最後の家族旅行となるはずだった。
しかし、宿泊するホテルの支配人の勧めで美しいプライベート・ビーチを訪れたせいで事態は一変。そこは30分が1年に相当し、細胞の老化を進めるという極めて特殊な空間だったのだ。共に閉じ込められたメンバーと脱出を試みるが、外界と完全に隔絶された空間の中で成長、そして老いが確実に彼らを蝕んで行った。
独特の不気味な雰囲気が終始まとわりつくような感覚を覚える。特に子供達の最初の成長を映すシーンでは、なかなか彼らの顔を見せないカメラの動きが絶妙だった。
また、本作で特徴的なのは誰しもが忌み嫌う｢老い｣という描写。老いや病、妊娠や出産、様々なライブイベントが一時に起こる中でメンバーの中に不和が起こるのがまさにホラーそのもの。着実に冷静さを失う彼らの中で、最後まで良心を失わず家族の愛情を確かめ合う主人公ら一家の描写に心打たれた。
ラストはちゃんと黒幕に裁きの鉄槌が下るので、そこはスッキリ。限られた時間の中で生きることの尊さに気付かされたような映画だった。夏休みも終わりを迎えるこんな時期だからこそ、ちょっと刺激の強いバカンス気分を味わいたい方にぜひ。
