ブラックユーモアホフマン

オールドのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
3.8
そもそも時間を扱うメディアである映画において時間そのものをテーマに据えるというのはとても難しいというか最終奥義みたいなところがある。ノーラン然り。

この映画の上映時間は108分とどちらかと言えば短め。タイトな尺に収まった映画は基本的には好きなことが多いのだけど、もちろん題材によると思う。僕は、この映画はもっと時間をかけて語っても良かったんじゃないかと思った。あまりに矢継ぎ早に事件が起こりすぎて気持ちがついていかない。

もちろんほぼワンシチュエーションの話で長い尺を持たせるっていう方が難しいと思うけれども、最終的に人生の悲喜こもごもみたいなところに到達する話だから終盤の哀愁のある展開を立たせるにはもう少しテンポゆっくりめでも良かったんじゃないかと。

集まった人々の背景の設定の仕方とかも、まあこの題材に対して最適だが。まるで物語のための駒のような配置の仕方に思えてしまったところを、時間をかけてもっと丁寧に描けばその気も払拭できたのではないかと思う。

そしてネタバレは避けるけど、結局これはなんだったのかっていう種明かしがちょっと興ざめ。まあそのアイデアは面白かったけど、もっとワケ分からないまま不条理な出来事が起こって終わるだけ、の方が美しいと思うな。アートに寄りすぎるきらいはあるけど。エンタメにしてしまうのは勿体ない。

しかし死に方はバリエーションに富んでいて設定を上手く活かして見たことないものを見せてくれたので満足。

あ、すいません、あとトーマシン・マッケンジーが見られたらもうなんでもいいです。ありがとうございました。

今年ガエル・ガルシア・ベルナル観たの2回目(1回目は『天国にちがいない』)だな。ヴィッキー・クリープスってルクセンブルクの人なんだ。『ファントム・スレッド』と他でもなんか見かけた気がする。てことはあの家族、国籍バラッバラだな。父メキシコ、母ルクセンブルク、息子アメリカ、娘ニュージーランドじゃん。
ケン・レオンってあのX-MENで何か変なトゲトゲが顔から出てた人だよな。久しぶりに見た。エリザ・スカンレン、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のときと全然印象違って同じ人に見えなかったわ。

そしてアレックス・ウルフとアビー・リー(・カーショウじゃなくなったんだね)は相変わらず素晴らしいホラー顔。

なんだかんだでシャマランのことは大好きだし尊敬してる。適当につまんねえジャンル映画で金稼いでる監督はアレだけど、ジャンル映画の土壌でオリジナリティを目指して新しい表現を見つけようとすることに人生を捧げてる人って本当に尊敬する。一番。でも相変わらず出たがり!!笑笑

てんかんとか好きだよねー。絶対ちょっとウケ狙ってんだよアレ。

【一番好きなトーマシーン】
トーマシン・マッケンジー