ノラネコの呑んで観るシネマ

アンダードッグ 後編のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)
4.7
「100円の恋」コンビによる、ボクシング映画の新たな金字塔。
一発のパンチで日本チャンピオンを逃し、輝けなくなった森山未来と、過去の罪を引きずる北村匠海、番組企画でプロライセンスを取得した、笑えないお笑い芸人の勝地涼、三人のプロボクサーの物語。
ボクシングが題材で、配信前提の前後編というと「あゝ、荒野」が記憶に新しいが、アプローチは全く異なる。
オリンピック後の近未来を舞台とし社会性の強かったあの映画に対して、こちらはあくまでもパーソナルな戦う理由に拘った作り。
これは”終わらせ方”に関する物語で、主人公の森山未来はタイトル戦を落とした後も、ズルズルとボクシングを続け、いつに間にかロートルの“噛ませ犬”に身を落としている。
もはや自分が何のために戦っているのかも、どう終わっていいのかも分からないのだ。
主人公の葛藤に、異なる理由で彼と戦うことになる二人の若者が、解決のためのヒントをくれる。
好きなものをやめることの難しさ、自分をどう納得させるのかはボクシングに限った話じゃないし、何かに打ち込んだことのある、全ての人にとって説得力のある話だろう。
そしてやっぱり、好きなことを諦めるのは辛いし難しいのだ。
後編のエンドクレジット中の映像なんかは、「すげー分かる」って人も多いのではないかな。
配信版は八話に分けられるそうだが、構成はどう変わるのだろうか。
ブログ記事:
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