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バッド・ジョブ シカゴ・セレブ強盗団のWNTのレビュー・感想・評価

3.0
富裕層と貧困層の差が明確化しどれだけいい大学を出ていても若者は仕事がない。夢や希望を持っていても就職活動で断られ奨学金を返すことすらできない。

いとこに誘われた仕事現場について行くとそれは金持ちの家に侵入し高価な家財を盗み家の全てのものを破壊する仕事だった....

美術の仕事に就きたいけれど、給料も良くないし下積みからで将来が約束されているわけではない。苦しい暮らしをどうにかしたい、何故一握りの金持ちだけが幸せに暮らし自分たち若者には仕事も未来もないのか?社会への鬱憤を晴らすように彼らは豪邸に侵入しあらゆるものを壊しまくる。

壊されたところで保険が降りる、保険金で全て戻ってくるのだからいただいても大丈夫だろう。これは若者からの社会へのメッセージだ。

高価なものを思いっきり壊すシーンをスローで見せてくれるので見応えがある。派手に壊れるシャンデリアやガラステーブル、持ち主が大切にしてるであろう写真や置物。観ていてスカッとするシーンもあるけれど虚しくなる。

それぞれが過去の闇や悩み、家族関係や心の傷を抱えていてそれをぶつけるように壊すシーンが印象的。ぶつけても仕方ないのにやり場のない怒り、それは快感となりやめられなくなっていく。

どんどん過激になり大胆な行動をとり主張が激しくなって行く、メンバーもそれぞれ考え方が違い亀裂が入り始める。そしてそれは破滅を招く。

シュワちゃんの息子が優しげで可愛い。逞しいというよりもベイビーフェイスで柔らかな雰囲気。優しいけれど優柔不断で無謀なところもあってラストの一言を聞いて、こりゃーだめだぁと思ってしまった。

社会へのメッセージ映画としてよくできている。若者は訴えかけている、こんな社会はダメだ、こっちを向いてくれ、真剣に考えてくれ、どうにかしてくれと。彼らの心の叫びを聞いていると胸が痛くなる。他の方法で訴えることができないからこうなってしまった....
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