それぞれの過去や事情を抱えた人たちが、偶然か運命か、同じ時を、同じ場所で、刹那をちょっと積み重ねたムコリッタ(牟呼栗多)*という絶妙な時間の中に見出すささやかな幸せの物語。
*ムコリッタ(牟呼栗多)とは、仏教における時間の単位のひとつで、1日(24時間)の1/30、48分を意味する言葉。
人は、生まれ、そしていつか死ぬ。自分が死んだとき、寂しいと思ってくれる人が何人いるだろうか。それは、決して多くなくていい。1人でもいい。その1人と、生きている間に、どれだけ些細でもいいから幸せなムコリッタを過ごすことが出来ているか、それが生きている証。
生きることは、人と関わることだし、生きることは、おいしいご飯を食べることだし、人と関わって、一緒においしいご飯を食べる時間は、確かにちょっとした幸せになる。
1人で生きるより、誰かと一緒がいい。1人で死ぬより、誰かに惜しまれて死んだほうがいい。
人生、生と死。誰かを失っても、生きている限り、そばにはまた誰かが現れる。重いテーマをくっすりほっこり。