サトシ

川っぺりムコリッタのサトシのレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
3.8
監督・脚本・原作は荻上直子、主演は松山ケンイチ。

舞台は富山県の海辺の町。
刑務所を出所したばかりの山田は、就職先のイカ塩辛工場で働き、社長の紹介で川辺にある古いアパート「ハイツムコリッタ」で暮らし始める。風呂上がりの牛乳、炊き立てご飯が好きで、静かに暮らしたいと願う山田だが、隣人の島田が風呂を借りたいと押しかけてきて断る。
とある日、金がなく食うにも困っている山田の部屋に、島田が庭で栽培した野菜を差し入れてくれて、山田は飢えをしのぐ。ところが野菜の差し入れは頻繁になり、そのたび風呂に入り食事をするようになって、山田も野菜作りを手伝うようになる・・・。

【キャスト】
山田たけし:松山ケンイチ
島田幸三:ムロツヨシ
南詩織:満島ひかり
沢田:緒形直人
溝口健一:吉岡秀隆
堤下靖男:柄本佑
薬師丸ひろ子、笹野高史、田中美佐子、江口のりこ、黒田大輔、知久寿焼、北村光授、松島羽那

富山県が舞台の珍しい映画。
荻上直子監督の作品は派手ではないけど拘りがあり共感してしまう作風が多い印象です。
炊き立てのご飯に漬け物だけでこれだけ美味しく見せつける松山ケンイチの演技は素晴らしかったです。採れたてのキュウリ、トマトを丸ごと食べると美味しいに決まっています。ムロツヨシが強引にお風呂に入ろうとしたり、ご飯をおかわりするのを断り切れない人の良さが表現できていますね。父親のお骨を塩辛の壺に入れて塩辛と思ってムロツヨシが驚くのをお風呂でじっと待っている表情が好きで一緒に笑ってしまいました。
ムロツヨシはハマり役でした。最初に、銭湯に行けと思ったでしょ、というセリフに魅力が詰まっていました。自給自足で何とかなってしまうと思わせる所が良かったです。
吉岡秀隆がすき焼きをしている所に匂いを嗅ぎ付けて皆が茶碗と生卵を持ち寄るシーンが、とにかく愉快で好きですね。
緒形直人のような社長がいると救われます。熱い気持ちが伝わってきました。答えはやってみないと分からないけど、やってみてよと言われて何か説得力があるんですよね。
薬師丸ひろ子が何処に出演していたか見逃したと思いましたが、いのちの電話の声ですよね。優しく語り掛けてくれてすがりたくなるの分かります。
タクシー運転手の笹野高史が打ち上げ花火の話しは良かったし驚きました。
最後に皆で骨を撒いていくシーンもほっこりする優しさを感じました。
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