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ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけているのenのレビュー・感想・評価

4.0
繊細でささやくような歌声と、センチメンタルで憂鬱さが同居するビリーのドキュメンタリー

和訳された歌詞が字幕に流れているのを観ると、水中で呼吸ができずにもがいているような苦しさみたいな印象がある。ビリーがティーンを中心に人気があるのも、不安の雲が漂う暗い時代への共感が強いからなんだろうなと。そんな自分を心から応援してくれていると信じるファンに心身共に傷つきながら応える。
常に完璧を求められる葛藤や悪意のある切り取り方で見つけた粗に対する批判がつきまとい、人ひとりでは抱えきれない責任や課せられた義務、役割とビリーは向き合い戦っている。決してひとりではなく、共同製作者の兄や、ツアーに同行しメンタルケアやマネジメントにはできない踏み込んだ部分を癒す母や、程よい距離間でビリーを想う父の存在が支えになっている。おそらく同じ境遇にあっており、ビリーの憧れのジャスティン・ビーバーが要所要所に現れるところも粋だった。
実家で暮らし、ハイブランドの洋服が雑に洗濯機に突っ込まれ干されてたり、休日には愛車でドライブすることを彼女が望み続けるならば、それが叶えられる世界であってほしい。

そして7/30にはリリースされる「Happier Than Ever」を聴こう。
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