Tomo

皮膚を売った男のTomoのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
3.5
💥背中にVISAって彫ればパスポートなの?💥


ペドロ監督の「私が、生きる肌」みたいなのと期待すると肩透かしを食らうけど、当にタイトル通りの作品。


シリアで不当逮捕されたサムは、何とか国を脱出し、レバノンで現代アートの巨匠であるジェフリーに出会う。
そして、ジェフリーから生きるアート作品にならないかと驚きの提案をされ…….ってストーリー。


皮膚を売る=背中の皮膚をアート作品のキャンバスとして提供し、それを展示することで金を得るということ。

当然に人身売買であったり、シリア難民としての人権問題であるとかがこのストーリーには常に絡んでくる。


そしてその中心にはサムとアビールのラブストーリーがあるんだけど、それらを総合してのこの作品のテーマは「自由」。

自由を求め、やっと手に入れたつもりがそれは不自由な自由であり、サムは本当の自由を求めていく、というものなのかしら。


仮に僕の背中がアート作品で毎日美術館に展示され、自分の意思も希望も通らなかったら窒息死するよ。自由を求めるよ。
そこにシリア人としての人権やら、人身売買に対する避難を受けたら、そりゃやってられないに決まってる。


人が人であるために 勝ち続けなきゃならない
正しいものは何なのか それがこの胸に解るまで


だからサムは戦ったんだ。


そしてラスト。ラッカに戻ったサムを待っていたのは自由なのか?

といいながら、このラスト、僕は正直あまり好きではないかな。

それは本当の自由を求めての戦い、ではなく自由になるための演出だったのだから。



……..背中のアートを含めた人間を商品としてオークションするのと、人間の臓器売買って、何の違いがあるんだ?
Tomo

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