羅武

映画大好きポンポさんの羅武のレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
4.3
映画ヲタの陰キャが監督になって映画撮る話。

創作モノは外さないというが、映画製作という過酷で非情なテーマに絶妙な匙加減でファンタジーを盛り込んでいるので、リアリティとファンタジーのどちらも失うことなく非常に楽しく鑑賞できる。
また『90分以上の映画は贅肉』と劇中でも主張しているように、抜群のテンポの良さも楽しさと爽快感に拍車をかける。

唯一ダメを出すとすれば『毒が薄い』という点。
絶望・挫折して脱落するやつがいない
結局の所で失敗しない
成功と引き換えに大きく失うものがない
…など、〆が悉くハッピーエンドかつご都合な展開なのは、
万人に推せるという反面少し刺激不足に感じてしまう。

ともあれ映画製作の裏側やクリエイターの苦悩といったドロドロなテーマを抜群のセンスでポップに描いた間違いない傑作。

根本的には“映画ヲタの陰キャにこそ直球で突き刺さる内容”なので、一般層にどの程度受けるのかというと少し不安ではあるが、前述した『絶妙なファンタジー』と『圧倒的ハイテンポ90分』がそれを払拭してくれそうだ。
羅武

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