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トゥルーノースのmikiのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.8
北朝鮮、強制収容所の真実の物語。

実写だったら最後まで観られなかったかもしれない。今も北朝鮮ではこの作品のようなことが起きているのかもしれないと思うと、ゾッとする、どころではすまない。国まるごと監獄なのか。

たったひとり父親が反政府的な企みをしていただけで、父親がしたことの意味もわからない小さな子どもまで強制収容所に送られる家族。義理の息子が韓国のラジオ番組を聴いていたというだけで捕まった中年の女性。裁判もなしで牢獄に入れられる国、理不尽。

拉致された女性が出てきたことから、改めて日本にとって遠い問題ではないのだということも思い知らされた。拉致されて強制収容所に入れられてしまった人もいて、あの地獄で亡くなっただなんて。あんなに胸が苦しくなる「赤とんぼ」を聴くのは初めて。

強制収容所という場所のひどさを知ることができる、というだけではなくて、生きるためにずるくなる、大切な教えを恨み投げ出したくなる、自分を失う、大切な人を失う、人の温かさを思い出す、自分を取り戻す、大切な人を守りたい、家族が幸せであってほしいと願う登場人物たちの物語にも目が離せない魅力を感じた。

軽く頭痛がするくらい泣いてしまったけれど、本当に観てよかった。
どうか1日でも早く、人々が普通に幸せに暮らせるようになりますように。
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