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トゥルーノースのhebのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

北朝鮮の政治犯収容所での過酷な生活を描くストーリー。
どこまで事実に即しているのか分かりませんが、ぼんやりとした知識しか無かった脳に次々と放り込まれる衝撃の光景に言葉を失ってしまいます。

アニメにする事でエグみが緩和され見易くなっているのは確かだと思います。しかし一方でこの「どこかで見たような顔」の登場人物達がどうしたって他人事だとは思えないリアリティをもって迫ってくるわけです。
アジア人の外見的特徴を最小限で表現するディフォルメの効いたキャラデザインが、作品全体のリアリティラインを絶妙に緩めもするし引き締めてもいる、そんな印象。

何より素晴らしいのは純粋な物語としての面白さです。
成り上がりモノの様な展開もあれば友情やロマンス、そしてサスペンスに脱獄とあらゆるジャンルをこの収容所の中だけで完結させる圧巻の脚本。
そしてラストにはこの地獄が今も我々の生きるこの世界と地続きである事を突き付けて終わる衝撃のギミックが用意されているという・・・

どんな時代のどんな国のどんな人種であれ、きっと人間は少し気を抜けばいつだって同じ地獄を作り出す様に出来ていて、だからこそこの現状を知らなければいけないし、同時に過去を振り返り省みる事も常に忘れてはならないのだろうと思います。
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