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私は決して泣かないのsonozyのレビュー・感想・評価

私は決して泣かない(2020年製作の映画)
4.0
ポーランドで母と障害を持つ兄と暮らす17歳のオラが、アイルランドに長期出稼ぎに行っていた父の訃報を受け、一人遺体の引取りに向かう物語。

オラはタバコに飲酒、スマホの着信音は”Fucking Police”、既に4度目の運転免許の路上試験中に邪魔した車を蹴っちゃう…心優しい面を持ちつつキレると“狂犬”のようになるエッジーなキャラ。

オラが小さい頃からアイルランドに出稼ぎに出ていてる父が、免許を取れば車を買ってくれるという約束をしたらしく、たまにバイトしている中古車販売店で買う予定の車を確保してもらっているのだ。

ある日、アイルランドから電話があり、英語が分かるオラが対応すると、父が事故死したと。
父の記憶もほとんどないオラは、父の死を聞いても悲しむそぶりもない。(タイトルの“I never cry”そのもの)
遺体を引き取るため、しぶしぶ初の海外一人旅でダブリンに向かうことに。

僅かな情報しかないオラ。最初に向かった職業紹介所では行列に割り込み、食事中の担当者に無理矢理 父の勤務先や手続きの手順などを聞き出し、遺体確認に向かう・・・
顔も判別出来ない状態の父の遺体に向き合い、身体の特徴を母に電話で確認し、財布など僅かな遺品を受け取る。

安宿に寝泊まりし、父の職場、父のルームメイト、財布に写真があった女性…
父がどんな人で、どんな暮らしをしていたのか。
いつしか父の姿を辿る旅となっていく。
そして、車を買ってくれるという約束のお金はどこかにあるのか・・・

「車」がキーモチーフとなっていますが、オラの感情の解放と共に心突き動かされるラストも秀逸です。

オーディションで発掘されたという主役オラを演じたゾフィア・スタフィエイが素晴らしかったですが、演技経験はなかったようで、それがオラのリアイティとなったように感じます。

このジャケ写が本作の素晴らしさを伝えられていないのが勿体ない。。
日本公開も無さそうで残念。
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