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クライマーズ・ハイのしのレビュー・感想・評価

クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)
5.0
個人的オールタイム・ベスト。大好きな映画です。

日本最悪の航空機墜落事故を命懸けで取材する北関東新聞社の記者・編集者を描いた本作。
役者陣の熱量がものすごい。

原田監督のリアリティを追求した演出が素晴らしい。エキストラを一切使わず、全員がオーディションを経た役者で埋め尽くされる新聞社のフロア。それぞれがアドリブで自分の成すべきことを考えて演じているので、画面の端から端まで「生きた」現場の臨場感が伝わってくる。まるでドキュメンタリーの映像を観ているかのようで最高に熱い。

堤真一演じる悠木もまた熱い。いい新聞を作るためなら上ともとことんぶつかっていく。社長や上司、部下と衝突しながらも、良い記事を生み出すために奮闘する姿に、仲間たちも信頼している感じが伝わってくる。
特に見所なのは遠藤憲一演じる等々力とのやりとり。悠木がスクープを抜くための秘策を上司の誰に相談するか迷った末に等々力に相談するシーン(等々力に話しかけた瞬間、同期2人がほかの上司に聞かれないようにそれぞれ気をそらせにいくのがたまらん)が1番好きなんですが、激しいぶつかり合いを経て等々力が悠木を理解していく過程がみえてかっこいいのです。

堺雅人演じる佐山もいいキャラしてる。普段は飄々としているのに、現場では泥臭く(比喩ではない)真実を追いかけていく姿はとてもかっこいい。現場雑感が間に合わなくて帰ってきた時の表情、、すごすぎる。同じ人とは思えない。

他にも新人記者の尾野真千子や社長の山崎努、中村育二や螢雪次朗などの大人の魅力あふれる上司、同期の田口トモロヲや堀部圭亮、マギーやでんでんなど、実力派キャストの素晴らしい演技が楽しめます。

地方紙の存在理由。スクープの難しさ。
チェック、ダブルチェック。

キャスト、スタッフ、監督のこの映画にかける熱量がよく分かるメイキングも最高です。原田監督の厳しい演技指導に食らいついていく尾野真千子が良き!

2021-110
2019-64
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