Ninico

アムステルダムのNinicoのレビュー・感想・評価

アムステルダム(2022年製作の映画)
4.8
歴史上のある陰謀が土台の物語で、戦場で知り合った医師と弁護士と看護師の3人の友情と殺人事件を描きつつ、事件の真相をデヴィッド・O・ラッセル監督の独自の解釈でほぼ実話で映画化した作品。
 ここまでの情報だけだとなかなか興行は見込めないだろうが、誰もが納得する豪華キャストのお陰でFilmarksレビューも盛り上がってるし都内映画館の土日は席が取りにくい話題作となっている。

まさかのアニャ・テイラー=ジョイ様がサブの悪役!しかもその旦那はボヘミアンラプソディでフレディをやってたラミ・マレック。
この2人は当然の存在感で怪しさ満点の脳みそ足りない感じのセレブリティを怪演。

主役3人のうち義眼の医師は、”役作りの鬼“クリスチャン・ベール。
芸術を愛する従軍看護師のヴァレリーはウルフ・オブ・ウォール・ストリートでどエロい美人妻を演じていたマーゴット・ロビー。
その彼氏の弁護士、ハロルド役はTENETのジョン・デヴィッド・ワシントン。

もうお腹いっぱいになりそうな豪華すぎるキャストであるが、更にテイラー・スイフトにロバート・デ・ニーロってもう祭りか何かとしか思えない。

但しこの映画の骨子はそんな煌びやかなものではなく、もっとシビアだ。時代に反抗するようなエキセントリックなアートを愛し、社会から認められない恋を貫き、歌と芸術を通して世界を慈しむヴァレリーとその2人の友人の在り方を通して、当時の凄惨な事件(件の陰謀も、戦争も差別も)を二度と繰り返させないためにも、蓋をされてきた史実を映画で詳らかにする、そんな意味合いや決意さえ感じる作品であった。

だからこそ、こんなにも巨額を投じて賑やかに楽しく話題性のあるエンタメ映画として仕上げたことに、
そしてそれを公開するためにコロナが落ち着いて皆が一斉に観られる今まで待ったという事実に、
なんだかとっても胸を打たれた。

作品としての魅力、存在の重みは今年1番。映画館で是非見て欲しい。
Ninico

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