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マッドマックス:フュリオサの盆栽のレビュー・感想・評価

4.0
怒りの戦士、爆誕


 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にて初登場したフュリオサの前日譚が遂に公開。隠された彼女の過去が明らかになる本作もかなりMAD!!『怒りのデス・ロード』にはない世紀末の姿がそこにはありました。前作からは考えられない親切な語り口はまさに観る「神話」。走る復讐劇&神話、これは第1作『マッドマックス』の再来か!?

 148分の長尺なのにも関わらず、最初から最後までエンジン全開。座席から振り落とされないように全身で身構えるしか選択肢はありません。シリーズ史上最もストーリーに奥深さがあるジェットコースター作品。フュリオサの怒りがMAXになる時、『怒りのデス・ロード』が完結する。

 今回フュリオサを演じたのはシャーリーズ・セロンではなく今ノリに乗ってるアニャ・テイラー=ジョイ。キャスティング発表時は彼女がシャーリーズ・セロンほどのカッコよさを体現できるか不安でしたが、鑑賞後の今ではそんな感情は遥か彼方に飛んでいきました。それぞれ2人に異なるフュリオサの凄さが備わっています。
 そんなフュリオサの心の中心にあるのは"復讐"。"復讐"から生まれる"怒り"、"怒り"から生まれる"復讐"は本シリーズの主人公マックス・ロカタンスキーにも通ずるもの。まさにシリーズ第1作『マッドマックス』がそうでした。愛する者を失った時に宿る本当の"怒り"は、たとえ神だろうと誰にも止めることはできません。

 今回のヴィランであるディメンタス将軍はクセが強すぎる。大勢のバイカー集団を率いる彼の姿はトーカッターを彷彿とさせます。本人は冗談混じえながらふざけるのに、他人の冗談は通じないようなヤバい奴。世紀末にピッタリの逸材です。彼の前日譚も作ってくれ。彼以外のヴィランもクセ強メンバーの集まりなので視覚的にも刺激が強すぎる。

 そして本シリーズに欠かせないド迫力のアクションシーン。最大限リアルにこだわったアクションで多くの人を魅了させた前作とは打って変わり、実際に撮ることは困難である実現不可能なアクションをVFXを駆使して演出した本作。もちろんリアルなアクションシーンもあるので、多ジャンルのアクションを一度に楽しめる非常に景気の良い仕上がりになっています。エンジン音も劇場でしか味わえないほどの迫力。エンジンとBGM、双方の轟音さに鼓膜がやられます。ウォー・ボーイズのイモータンへの異常な執着心は今回も健在。

 正直、アクションの規模や痛快さは前作より劣ってしまいますが、本来の『マッドマックス』の世界観をスクリーンに復活させることに成功した良作だと思います。タイトル通り、サーガとしての役割をもこなしており、今後もこの世界観は拡大することができる、未知なる可能性をも秘めた攻撃力MAXの一本。

 マックス、次は君の出番だ。

2024.5.31 初鑑賞
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