ちゃこ

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-のちゃこのレビュー・感想・評価

4.7
“I love you”という言葉にこんなにも重みを感じたのは初めてだった。JDが母親に対してモーテルで言ったこの言葉に、彼の生き様全てが詰まってる。
家族を題材にした映画なのに、大半が観ていてあまりにも、アメリカの貧困層の救い用のない現実が浮き彫りになり過ぎて苦しかった。だけど同時にJDの生き方に奮い立たされ、勇気をもらえる。
苦しくて、どうしようもない時にこそ、どうにかその環境から抜け出そうと這いあがろうとするJDの葛藤と強さに感動した。
家族という共同体の絆は、不気味なほど固くて切るに切れなくて、でもやっぱり生きていく上で大切にしていかなければならないと気付かされた。
自分はこの映画とは全く違う家庭環境で育ったけれど、関わる人にはそれぞれいろんな背景を持った家庭で育っている事を忘れてはいけないと思った。人の痛みや苦しみが分かってあげられる人間になりたいと思った。
どんなに苦しくても、憤りや怒りを抱いても、すべてを愛で返せるJDの強さに本当に胸を打たれた。久し振りにこんなに印象に残る美しい作品に出会えた。
ちゃこ

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