Dado

セブンのDadoのネタバレレビュー・内容・結末

セブン(1995年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

定年退職間近と、分署転勤直後の二人の刑事が、猟奇連続殺人事件の解決と阻止に奮闘するというストーリー。

特に素晴らしかった点は、ストーリー展開と魅せ方。犯人が捕まるまでは、ずっとじめっとした雨の日や、ごちゃごちゃした暗い室内など重苦しい印象で進んでいた反面、ラストのシーンでは、乾いた草原と高圧電線しかないひらけた場所で、登場人物の心象を一気に目立たせるような演出。立て続けに5人が殺されるわけだが、限られた時間の中で刑事たちの葛藤や日常、犯人との攻防、5人の死がそれぞれ雑に扱われずにテンポよく進む。

7つの大罪に準えた殺しの方法は猟奇的で粘着質さが出ているのは良かったが、そもそも犯人がどうやって犯行に及べたのかとか、細かいところ(なんで金持ってるのかとかも)に関しては、特に明かされずそういうところはご都合主義。ただ、ご都合主義に目を瞑れるくらいケヴィン・スパイシーによる演技が良かった。"いかにも狂ってる感じ"ではなく、すごくナチュラルに狂っていて(大袈裟な表情や身振り手振りはしない)、声の強弱や目つきが素晴らしい。

ラストで残る罪が"嫉妬"と"憤怒"になったところからオチは分かってくるが、

犯人が、嫉妬の罪を背負うのは理解できるけど、ミルズが憤怒の罪を負わされる形になるのが、犯人の計画(思想)としてもどうなの?って少し引っかかった。これまでの被害者の罪については犯人なりの道理があるし、犯行にしても完璧主義感が出ていたのでそこの詰めの甘さが余計に気になってしまう……仮に、ミルズが引き鉄を引かない・或いはサマセットが代わりに撃っていれば大罪は完成しなかったし……

ただ、ミルズには、最初から我慢が効かず怒りっぽい描写が多々あったのでそこが伏線だったのかなと思うけど……結果として大罪は完成してしまうので、人によっては後味が悪く感じるはず。

好みが分かれる作品だが、最後に妻子を殺した犯人に、復讐(憤怒)をするのか、刑事を全うするのかを涙を浮かべながら葛藤したブラピの演技も含め、個人的には好きなバッドエンドだった。
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