深い疲弊を感じるときに、なぜか見直す映画。
どうしてだろう、刑事を演じるモーガン・フリーマンの諦念を思い出すからだろうか。
雨の降り続く腐敗した都市は、エンキ・ビラルのバンドデシネとブレードランナーを1995年のロスをミックスしたような陰鬱さ。
この映画の主要なキャラクターは舞台となる都市だ。曜日を更新しても止まない雨。この世界ではずっと雨が降り続けているのだろうか。
シリアルキラーに被害者である都市の住人たちも、現代社会の暗部を切り取っていて私たちの気を滅入らせる。しかし被害者たちに思いを馳せる時間はない。なにしろ7つの大罪になぞらえて、7人の殺人が2時間の上映時間のなかで起きなくてはならないから。
フリーマンもブラッド・ピットも、最後の殺人を止めることはできない。アイロニカルな結末を迎える最後の殺人の現場では雨は止む。しかし彼らは都市にはいない。