MURANO

この茫漠たる荒野でのMURANOのレビュー・感想・評価

この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)
3.5
トム・ハンクス主演、ポール・グリーングラス監督ということで、オスカー狙いの臭いがプンプンするNetflix映画。

トム・ハンクス主演ゆえにものすごく安定しているけど、ズバ抜けた映画でもないので賞狙いとしては外れでしょうね…。

南北戦争後のテキサスが舞台の西部劇ロードムービーで、今にも続く人種問題も味付けにしているが、ロードムービーの中で深まっていく人間描写としては薄味だと思いました。

西部劇でロードムービーって、どうしてもアメリカンニューシネマ的な、もっと虚しかったり、もっと儚かったりするのが観たくなっちゃうんですよね。

わずか12歳のヘレナ・ゼンゲルが放つミステリアスさは、トム・ハンクスの渋さ以上に強い印象を残すが、ふたりが一緒に旅をする過程で「英語が喋れない」というのは、一長一短あったかなと感じた。

限られた会話を補完する意味での、荒野の風景と陽光は圧倒的に美しかったけど、ふたり以外の登場人物が出て来ての会話になると説明シーンっぽさも強くて。

結果的に僕の感情にはあんまり染み込んで来なくて、最後になってもまぁこんなもんだよね、という軽い感動に留まってしまいました。

この映画、原作小説があるようですが、小説の概要をサラっとなぞった映画になっちゃってるのでは?と、原作読んでないくせに邪推してしまう。
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