無駄を削ぎ落としたシンプルな作品。
それがどれだけ鮮烈に私たちの胸を打つのか実感させられた、たった12分。
銃乱射事件に巻き込まれ、亡くなった女の子と家族の話をセリフ無しで描かれた今作は、アカデミー賞、短編アニメ映画を受賞している。なにも事前情報を入れず12分だから観たが、涙が溢れた。
アニメは優しさ全開の柔らかな絵柄で描かれている。そこに横たわる残酷な現実。影を使うという斬新な手法で彼らの悲痛な叫びを私たちに伝えてくれている。
娘がいなくなった後の部屋、娘との出来事を思い起こさせる痕(壁にあるペンキに思わず涙が溢れた)すべてが綺麗に描かれていて、胸に来るものがあった。
タイトルの「愛しているって言っておくね」この意味が分かったとき、正常ではいられなくなる。
伝えられる時に伝えなければ、と最初は思ったけれど、そうじゃなくて「伝えられるときに伝えなければ」と思うようなことが起きないことが一番だと感じた。