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ドライブ・マイ・カーのまっとのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
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わたりさんの役の方、鬼談百景に出ている……どれだ……どの役だ……

観ている間、「他人をコントロールしようとすること」と「自己をコントロールすること」を考えていました
常々車って車の形に自己が広がるものだと感じていて(私はそれゆえ車が怖いと思う派になってしまったのだが)
車のハンドルを委ねることは相手に自分を委ねること 私は心地良い あなたは私の命を預かっている あなたが行き先を決められる 私は横に乗るしかできない ドライブ・マイ・カーかあ 他人と乗り合わせることってそりゃそうだけど相手も自分もつらかったり嫌気が差したり良いことばっかりじゃなくて でも乗り合わせるのが人生 連れ添うのが人生行きずりが人生 演歌の前口上みたいになっちゃった

「ちゃんと傷付かなかった」にすごくハッとさせられたり 分かったような顔して、こうした方が傷付かないからと言って、傷をなかったことにするのは、駄目なことだなあ
全部を音さんだと思うことはできませんか、とわたりさんは言ったけど わたりさんは自分の母と重ねてそう言ったけど そして私もそういう人の許しがたい面と愛しい面を嫌悪して愛したこともあるけれど でも私はまだ「許し難いから許せない」を強く思ってしまうな

こんなにグッッッ…………と内面のことを3時間考えさせられてとても疲れたけど本当に好きな映画です そしてやはりクリーピーのときの西島秀俊を思い出し、この「分かってない人」(今回はもっと優しくて悲しい描き方だけど)系の役をやらせたら天才だなと思いました 黒沢清があのとき引き出してくれた西島秀俊のこの絶妙な不完全さを濱口竜介が美しく描いてくれた ありがとう 嬉しい
岡田将生のギラついて繊細で哀しい人物造形も最高だったな……役者のいろんな魅力を知れる映画だった……

村上春樹を何年も読んでいないので久しぶりに読もうと思います🙂
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