カポック

ドライブ・マイ・カーのカポックのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.8
大切な人を亡くし、生き残った人々の葛藤を描いた物語。大作。無駄がなく、3時間もあるのに冗長にならない。原作を読んだことはないが、映画が村上春樹の世界そのままで感嘆した。見事だと思ったのは、多言語演劇が組み込まれていたこと。不自然にロシア語を使用することなく、言語を演者の母国語に合わせて多様化することで、演者の感情の発露をストレートに感じることができた。

亡くした相手を愛していようと、憎んでいようと、残された者は深く傷を負い、多くの後悔を乗り越えながら、その傷と共に生きていかなければならない。そんな人々の葛藤が、決意が、繊細に描写されていた。個人的に、車の赤色の鮮やかさが好きでした。