このレビューはネタバレを含みます
とても上質な映画を見ていると言う感覚がずっとある作品だった。
静かな美しさが漂っていた。
家福は妻を愛していたし、妻も家福を愛していたけれど、最期まで聞けなかった秘密を残して、妻は突然亡くなってしまった。
妻の声のカセットテープを聴きながら、
大切な車に乗って喪失感を抱える家福の姿は、
まだ若いわたしにはわからない、悲しみだけではないような感情なのだろうと思った。
そして出会った専属ドライバーのみさき。
彼女の抱える孤独が、家福の抱えてきた喪失感をほぐしていく気がした。
岡田将生さんの演じる高槻の、
人物像が一つに定まらないような不安定さが魅力的で、少し怖かった。
何ヶ国語も混ざり、手話も混ざった演劇と、
妻の録音した抑揚のない音声、
リアルな言葉と、舞台のセリフが混ざり合っていくのが面白かった。
大人になったらもう一度見たい。
(後ろの席の人がマナー悪くて、きちんとこの映画を味わい尽くせたか不安)