こうみ大夫

ドライブ・マイ・カーのこうみ大夫のレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.3
なんとなくその結論は見えていた。それが感動に写るほど、観客は、いつも他人を定義したがるのだろうか。自分の定義しきれない何かを、不可解とそれほど思ってるのだろうか。
映画を作る技量は流石だった。何か良いものがあった、と台詞にある上で、その直前に本当に良い物を提示できる。外のワークショップのシーンは鳥肌ものだと思う。こんなの撮れる監督がまだいるんだ!と興奮した。
居心地のよい瞬間を映画に作り出すのが本当に上手い。居心地がよく、いつまでもこのままでありたい、と思わせて、所々でそれを崩す。そのやり方に観てる方はあわあわとしてしまう。でも果たして気付くまでに、死が必要だったのか、逮捕事件が必要だったのか、北海道まで行くことが必要だったのか。もっと身近な、むしろただ稽古を進め本番を迎えるまでの中でも、これは描けたのではないか。おやむしろ濱口監督ならそれでも描けるんじゃないか。今回の濱口作品が合わなかった点はそこだったのかもしれない。
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