外面

ドライブ・マイ・カーの外面のネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

長い!けど長さを感じることは全くなかった。めちゃくちゃ車の中の映像なのになんであんな退屈しなかったのかな、すごい。1回も残り時間を気にしなかった。割と普通の映画でもあとどれくらいかなって考えるんだけど今回はそれが無かった。色んな要因があるけど音楽のセンスと沈黙の使い方はその要因の上位に食い込むと思う。

音楽本当にすごい素敵。この音楽いいでしょ!って主張してこないしむしろ添え物!って感じの大人しさなんだけど凄くいい、なんだろ、、すごくいい。BGMにしたら作業捗りそう。

音響がめちゃくちゃ良かったんだけどあれは映画館がよかったのか映画自体の音響が良かったのか分かりかねるな。どっちだ。シャッター音はマジで客が撮ったかと思って本当に民度低いな帰れよとか思ったけどスクリーンの音だと気付いてビビった。カセットを入れる音もいいしカフェ?バー?で話す時の後ろの話し声もすごく心地よかった。北海道向かう時にトンネルから出た時の雨が降る音とか。そこに一緒にいるみたいな音がする。

①岡田将生と西島秀俊が交互に顔が映ってこっちを見つめて語るシーン、岡田将生の訴えが強すぎる、岡田将生って割と全部岡田将生の演技なんだけど訴えの力が強いというか本当に思ってる、言葉を借りると本当のことしかいってない感じがあって特に目の訴えが強くて、顔が強いとかだけじゃない迫力?圧倒される場所がある。深く物事を捉える性格でそれが如実に出てる感じした。三浦春馬とかも似た演技するよね。
「相手の心の深いところを見ようとすると自分が苦しくなるだけ。他人を知るには自分をまっすぐ見つめるしかない」
「音の心の中には俺には覗けないどす黒い渦みたいなのがあった」
②西島秀俊と渡さんの語り、生きていくしかないところ話してる人しか見れなかった、あんな大きなスクリーンで端に少しだけ映っている渡さんしか、しっかり語っている西島秀俊しかみれなかった。あんなにかっこいい西島秀俊の顔じゃなくて目しか見れなかったの。、引き込み方がうまくて本当に俳優になりたくなった。
「生きている人間は死んだ人のことをずっと考え続けなければいけない、どんな場面でも、それでも前を向かなければいけない」
「音さんに謎なんてなかったんじゃないですか、そういう人間だったって考えられないですか、どれも本当だったように感じるんです、家福さんを愛していたのも他の男で欲求を満たすのもどれも本当だったんじゃないですか」
どれも本当だったのくだり、まじで彼氏とのいざこざ思い出させて震えた。私には理解できないことをしていた彼も私が大好きと思っている彼も全部本当なんだよね、、苦しい思いや恐怖を持つとそれだけ作品にリンクする感情が増えて倍で感情移入できる。表現の場において無駄にならないと思う。岡田将生の語りも本当だったのくだりも心の奥が震える感じが確かにあって、それが体にも現れた。息浅くなって瞬きできなかったの。共鳴ってこれかな

なんかさ、映画見て女優やりたいと感じると思わなかった。車の中の映像で喋ってる西島秀俊とワーニャとして演じる西島秀俊の迫力にすごくやられた。俳優の圧が強い映画。

序盤の車を走らせるシーンで俳優と監督と照明さんとかのの名前を出すの、本当に力を込めて作ってるんだなって思って会社も気になった。あんな素敵なものを1から作り上げた人間がいて、最後のエンドロールで名前が載るのって本当に美しく素晴らしいことだよな。わたしも乗りたいと思ってしまった。

食っていけない気がするけど、劇団に入りたいと思わされました。演技で自分と向き合いたい。西島秀俊がこの台本は自分をどんどん見つめ直される?向き合わされる?みたいなこと言ってたけどとてもわかる。今回の演技もそうだし、言葉もそうだし、吉本ばななキッチンもそうだけど役の言葉が自分に降りかかってきてしまうからすごく病みそうだけど、その闇を支えてくれるのもまたその役なんだよな、結局私は一人で物事に向き合っているけど物語とか作品の支えで立っている。
死を題材にしてるやつ、関係がない時だったらはいはい感動させたいのねとか思ってたけど死と隣り合わせになると途端にめちゃくちゃ刺さる。全部心が震えて仕方なくなる。

びっくりカーテンまた使われてて流石にすごい(花束でも使われてた会社)。最初の裸の妻の影だけ映るシーンの後ろの青めのカーテン本当に美しかったからあれがびっくりカーテンならほんとうにプロだと思う。映画に必要な小道具、カーテン部門堂々の第1位。

すごく車の後ろから映すシーンが多くて、車の後ろからトンネルや道路を映すシーン、車の中から立ってる後ろの人を見るシーン、岡田将生が連行されていく時取り残される西島秀俊のシーン、多い。けど最後の最後は運転席の前が写されてて多分未来への比喩だから背負って生きていきながら前を向いて歩いてて本当によかったなって思います。
車の上からタバコ上にやるのfuckポーズみたいだしそのタバコを線香みたいにつかうの痺れた。

最後にタイトル出るの、他のやつはすごくタイトル出てる!!良い!!ってなったけどこれはスルッと終わった。理解してる間に出てきた。けどあれより美しい終わり方は見つからないからあれでよかった。

心から西島秀俊と結婚したくなりました。
西島秀俊、演技もめちゃくちゃ良いからすごく自然に見れたんだけど三浦透子とハグし合うとこだけ爆イケ男すぎてカップルでした。かっこよすぎ。
西島秀俊の爆イケの隣でベッドシーンして当たり前に演技できてる霧島れいかマジですごいなって思う。なんなの?天才?騎乗位のフリしながらセリフを言ってキスをしながらセリフを言って本当に心から役者だな。押し倒される時霧島れいかの足の甲がしっかり伸びてるの演技として百点満点の美しさで、あ、表現している、と感心させられた。
最初のシーン霧島れいかのお尻部分軽くボヤかしてた?気のせい?ミッドサマーから言っていますけどボヤかすぐらいならそこの画角切ってくださいお願いします。気のせいだったらごめんなさい。

手話の女の人、マジで可愛い韓国人のお手本みたいだった。透き通る肌にスッキリした顔立ち。あれになりたい。二重じゃなくても目がどでかくなくても品のよくまとまった顔立ち。本当に綺麗。あの人の着る青い洋服が素敵で素敵で欲しくなった。ラストシーンのワンピースも外シーンの青いコートも。どこのだろう。まるまる欲しいです。色白に青はマジで似合う。

三浦透子北海道っぽい顔立ちだけど雪山のシーン見て北海道って感じしなかった。けどバリバリ札幌出身でした。草
三浦透子本当に横顔が美しい、北海道向かう時のトンネルの中の横顔の影映るシーンのEライン綺麗すぎて見惚れた。絶対横顔の素晴らしさ込みで配役決定してる。

北海道の雪崩とかラストシーンのマスクとか(これは撮影時期もある)、今撮りました感がある。20代前半なので現実の時間軸みたいに感じられた。
ラスト、三浦透子だけなのに犬を出すことでハッピーエンドを確信させるの本当に細部までのこだわりを感じる。劇を見る三浦透子の引き込まれている顔を見て、わたしがこの映画に共感するように同じようにこれを見て感動する人がいるんだなって不思議?な気持ちになった。

「本当かどうかは分かりませんが彼が本当だと思っていることを言っていました。本当のことを言っている人は分かるんです、嘘ばかりをいう人の周りで生きてきたので。嘘を嘘と見抜けないと生きていけなかったんです」この言葉、幸の人格を持つ親といたの考えると本当に深い。
「耐えましょう。そして最後を迎える時は大人しく逝きましょう。2人で神様にこう言いましょう、私たちは泣きました、辛かった、って。そしたら神様は私たちを憐んでくれます。そして2人で綺麗な幸せなところに行くの。そこで2人はやっと息をつくの。」
「真実は案外怖くない。1番怖いのはその真実を知らないこと。」
岡田将生の遊び人な感じ、芸能界の私の好きなアイドルや俳優もあんな感じなのかなって少し悲しくなった。共演者とイチャコラやってんのかな。フィクションであって欲しいと願うばかりです。

最初はまじで村上春樹節炸裂の語りから入ったからどうしようかと思ってたけど逆に集中スイッチ入ったし他のところで村上春樹節ないと聞きやすくて(慣れたのかもしれないけど)よかったです。
村上春樹、まじで体力がないと読めないから映像を先に見ることで理解が進む。ありがたい。端折ってる部分を本で確認したくなるし。こういう映画化は映画化する側とされる側の需要と供給を満たしてると思うのでもっとやってほしい。言葉が美しいから手元に文庫欲しいな。
何を得たか、と言われると説明できない映画なんだけど、この雰囲気と細部の言葉に救われるタイプの映画でした!あーもう1回見たい!今度は家でゆるゆる見たいから配信サービスの方ぜひお願いします。

この映画を同じ温度で観れる友達は初めて一緒に映画見に行きたいと思えた。大切。
目の前カップルで来てたけどカップルでこれを分かり合えるの素敵だな。いいな。
おじさんが途中途中咳をしてて、コロナ脳だからコロナかもしれないって不安になって気削がれたの、自分が心底嫌になった。席の間隔がある今の映画館大好きだけど、本当にコロナのことを1ミリも考えなくて済む世界が欲しい。よろしくお願いします。
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