真意と本当、言葉は何をもって伝わるというのか。
美しく作り込まれた画と、静寂の音の使い方が印象的で、焼き付くように心に残る。
東京の街並み、広島と瀬戸内の景色、北海道の雪景色。それらが車とともに流れていく。
夕暮れのシルエット、浮気相手の後ろ姿、屋根から吐き出される煙草の煙、一面の白の雪景色、裏から見た舞台。
コミュニケーションは自分という主体が存在して成り立つもので、その自分を掘り下げていくことが他者を知ることにつながる。
そしてどの人物にも平等に物語があり、苦悩があり、生きている間には報われないかもしれないけれども他者と分かち合うことで違ったものが見える。
そんなことについて描かれていると、自分は感じた。
物語がひとつの軸にされていて、言葉のひとつひとつを台詞合わせしていくかのように噛み締めて聞かせているのも良かった。
画にも内容にも表現にも緩急があり、尺の長さを感じさせない。瀬戸内から北海道までドライブしたいなあ。