がじゅまる

ドライブ・マイ・カーのがじゅまるのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.6
思った事を纏まりもなくツラツラと綴ります。何の参考にもならない自分のための備忘録なので悪しからず。

冒頭、逆光で顔も見えない妻の語りの禍々しさが、この映画の印象を決定付ける。
人間には間違いなく二面性があって、しかしそれは表と裏ではなく、それをも内包しているのがその人自身である。真正面にぶつけられたらウッとするような強度のあるメッセージだが、それを軽々しく飲み込ませる程濃密な3時間だった。
生と死、演技と人生、光と闇、日本と海外、有と無、様々な対比構造を用いて、しかしそれが対比ではないことを感じさせる。

「それでも生きなければいけない。」

コロナも終息の気配を見せず、日本経済も不況。20代の若者の私としては、人生の先行きが本当に不透明に思う。
だがそれは当たり前のように自分だけでなく、今この定食屋で隣にいるスーツ姿の彼も感じている事なのである。
責任や過ち、取り返せない過去も背負って生きていこうと思えた。
もしそれでも疲れたなら、ドライブに出かけてみるのもイイかもしれない。