このレビューはネタバレを含みます
独特のテンポと空気感に引き込まれて3時間を長く感じなかった。
感じたことを言葉にするのがいつも以上に難しかった。
『ワーニャ伯父さん』のセリフや、音さんの語る物語が、その時々の場面や心情を表しているようで、心にグサグサ突き刺さった。
ラストの舞台でのシーンは、ソーニャが手話で話すことによってスクリーンの向こうもこちらも同じ静けさで一体化したような感覚になって、自分もあの舞台を生で見ているようだった。セリフもとても好きだった。
作中で主な場でもあった車に関しては、窓の外で流れる景色だとか、等間隔で車内に差し込む街灯や道路の繋ぎ目の衝撃だとか、そういう空気がとても好きだった。
サンルーフからタバコを出すシーンも素敵。
あと、扱い方(?)が変わっていくのも上手く言えないけれど印象的だった。
誰かに運転を任せることをなるべく避けて、大切にし、常に自分で操作していたけれど、みさきに運転を任せ、最後には手放し譲ったのだといいなと個人的には思っている。車は家福さんの心のようなものかな、なにかから解放されたのかな。上手く言えない!
心で様々な感情が渦巻いているのにあの空気を読む感じ、気付かないふりをして生きている感じ、相手を察し自分を察してほしいと思っている(し、それができていると思っている)感じ、自分もそう違わないなと思った。
生きるって、生き残るってしんどい、虚無、でも受け入れるしかない。
失って気付くことがあると知っているのに、あるうちにはどうしてできないんだろう。
ひとりでどう頑張ったって相手のことや考えはわからないのだから、それより自分と向き合うべき。
…といろんな気持ちがうまれた。
捉え方や感じ方がいろいろできる作品だとおもった。