れーちゃん

ドライブ・マイ・カーのれーちゃんのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
すごく色々思ったことがあって、一つ一つ紐解いていくとかなり大変。いろんなエッセンスが詰め込まれていて、大変素晴らしい作品であったが、原作もきちんと読んで、「ワーニャ伯父さん」を知っていたらさらに面白かったのだろうと思う。

主人公の舞台俳優兼演出家・家福と脚本家の妻・音。
二人は20年もの間、夫婦で苦楽を共に過ごし、心の底から愛し合っていたが、ある日家福は妻の秘密を知ってしまう。さらに音から「話がある」と言われた矢先、音は急死してしまう。

その日から2年が経ち、変わらず演出の仕事をしながら日々を過ごす家福だったが心はあの時から時が止まっていた。そんなある日、自身が手かげた舞台「ワーニャ伯父さん」の広島公演を持ちかけられる。
担当者から、何かあっては困ると家福が大切にしてきた赤い愛車を運転する専属ドライバーをつけてほしいと頼まれ、人を乗せることに抵抗があった家福だったが渋々承諾する。
そのドライバーの滑らかな運転や劇に出演する役者たちとの出会いにより、家福の暗い心を次第に解いていきながら再生していく物語。

一番は「秘密」がテーマにあると思う。秘密というのはつまり「自分の知らない相手のこと」
誰もが人に言えないこと、言わない方がいいこと、色々な秘密を抱えているはずだ。真実は本人にしかわからない。相手をどこまで信じるか、信じないか、それは自分次第なのだと思う。
作品の中では様々な人間の秘密が描かれており、その一つ一つが家福の心に変化をもたらしていく。
人をありのまま受け入れること、信じることの難しさと信じた先に待ち受けている愛や悲しみなど色々な感情を家福の心情の変化と共に3時間の中で描き切っていた。
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