大橋

ドライブ・マイ・カーの大橋のネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

映画を観る前の知識が、「妻をなくした演出家が運転手との心の交流を通して人生を取り戻していく」くらいの話だと思っていたので、冒頭、47歳でこんなにラブラブの夫婦がいるのかー、「欧米か」と思うくらいの仲睦まじさなので、「そりゃこんなに仲いいのに奥さん亡くなったら、さぞ内省的になるよなあ」とおもっていたら、突然の妻の不倫シーン。
わざわざ不倫相手と同じ体位でのラブシーンで、しかも奥さん思わせぶりなカメラ目線で、ヤツメウナギの話をする。
その後、奥さんは急死しちゃうわけだけど、ここからストーリーが動き出す。
車の中でカセットテープから流れてくる妻のワーニャ叔父さんの台詞が、その時その時の主人公に問いかけてきているかのような内容で、なんとも物語の進め方が上手い。
物語が進むにつれ、カセットテープを流さなくなり、ドライバーとの会話が中心になっていくところもまた上手い。

車の中で二人でタバコ吸うシーンはノッキンオンヘブンズドア、ラストのドライバーがサーブを運転するシーンはグラントリノのラストシーンを連想させられた。

あまりに、よく出来た作品だったので、原作も読んだ。
ナツメウナギのくだりは「シェラザード」という短編をアレンジしたもの、「ドライブマイカー」とあわせて、村上春樹の「女のいない男たち」に収録されています。
村上春樹の作品に、ワーニャ叔父さんの台詞を結びつけた濱口監督の脚本に脱帽。
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