ケロケロみん

ドライブ・マイ・カーのケロケロみんのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
村上春樹の雰囲気の再現度が高い映画って初めてだわー
村上春樹ならこう描写するだろな、ってシーンが沢山あった。見たあとから原作短編を読んだ。短編をモティーフにして上手いこと展開して尺を伸ばせたなぁと。村上春樹のノルウェイの森も短編を経て作られているので春樹がこのとおり長編にしていても違和感ないと思う。演劇を多言語で行うっていうのもいいフィルイン。夢の話を語る妻というのも昔の春樹のエッセイで春樹の奥さんの朝よく夢の話をするって出てきたし。
……いや尺伸ばしすぎ。映画は2時間以内という法律作って欲しい。寝ちゃうから。
見ていて天現寺という地名が頭に浮かび、更に「ダンス・ダンス・ダンス」のユキみたいなドライバー、五反田くんっぽい俳優さん、そして「ノルウェイの森」の直子とミドリを合わせたような主人公の奥さんみたいだな、と考えていた。エセハルキストなのでつい、昔の村上春樹小説になぞらえてしまう。ノルウェイの森で述べられる「死は生の対極としてでなく、その一部として存在している」という定理を実感出来る作品だった。
ただ、一言言いたいのは「運転してるときは運転に集中せよ」「主人公、事故ったお前に女の運転がどーのこーの言われたくない」「プロのドライバーなら運転交代を受け入れろ」要は運転というものは自分と同乗者、そして他の車や歩行者などに危害を与える凶器にもなり得るものなので疎かにしないでほしい。彼東京にいた20~40代の20年ほど車と無縁で売れてきてから乗り出したとこあるからちょっとファッション的に捉えてるのかもね。